ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.73 今宵はトルコ皇帝気分で

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

トルコ料理の既成概念を覆す名店が、麻布十番に。その洗練された奥深い味に必ずや驚かれよう。迷っていては時間がもったいない。いますぐにでも予約を入れられたし……。

「トルコ料理=エスニック」という思いが正直あったが、メニューを見て驚き、前菜を食べて考えが180度変わった。今思えば、何度も友人に薦められたが躊躇していた時間がもったいなかった。オスマン帝国の歴代皇帝たちに供された門外不出のレシピを継承するレストランは世界にたった3軒。ここ『ブルガズアダ』は、そのトルコ宮廷料理の空気に触れ、味わうことができる日本で唯一のレストランだ。

オーナーシェフのディキメンさんは、トルコ、ヨーロッパを拠点に経験を積んだ後、奥様の故郷・長野県飯田市で10年、そして5年前から東京の麻布十番で腕を振るう、母国の文化を大切にする経歴の持ち主だ。だからその味は本物。もはやディキメン・ファンは本国だけにとどまらず、飯田市や東京にも増殖中だ。ハーブやスパイスはトルコから、食材は旬のものを国内各地から取り寄せる。まさに東洋と西洋の融合を実践し、「伝統のレシピをベースにし、絶えずアレンジに工夫をしています」と笑って話すディキメンさん。その瞳の奥には大きな自信と母国愛が窺える。

コースのはじめを飾る前菜は「14~19世紀の前菜の盛り合わせ」。一品一品とてつもなく手間がかかった華やかな盛り合わせを目の前にし、オスマンの世界へと自然に引き込まれていく。前菜一番のお薦めはオムレツだ。時間をかけてじっくり炒めた玉ねぎはとても甘く、ザクッとした食感は面白い。これら前菜には、「ラク」というアニス風味のトルコ産リキュールを合わせるが、どんどんお酒が進む。「トルコでは前菜だけで終わることもありますよ」とマダムが応えてくれた。

さて、本日のスペシャリテは「ムスルをコーティングした金目鯛をチキンスープで炊いたズッキーニで包んで」。この金目鯛は、経験したことがないくらい外はカリカリで中はフワフワだ。聞くとグリル、サラマンドル、オーブンと3段階で焼くそうだ。独創的なスープはじんわりと金目鯛に浸み込み、上品でありながらダイナミックな組み合わせ。これが宮廷料理かと教えてくれているようだ。とにかくまずは、お試しあれ。

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

ブルガズ アダBURGAZ ADA

18:00~21:00までは宮廷料理の神髄を堪能できるコース料理で。6,900円、8,800円、13,650円の3種類(紹介した料理は、取材した時のコース料理の一品)。アラカルト料理は21:00以降で、手軽にお好みの一品一品をオーダーできる。日本では珍しいトルコワインも豊富にそろう。

※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

住所 東京都港区麻布十番3-7-4 麻布六堂3F
電話 03-3769-0606
営業時間 18:00~L.O.22:30
定休日 日曜

WEB限定 今月のもう一皿
バジルソースでソテーした活き車海老と
焼きナスのテリーヌ

世界的にも珍しいトルコ宮廷料理の中からシェフが選んだ「今月のもう一皿」は、活き車海老とナスを使った一品。シェフおすすめで常連客からも人気の高い「パーディシャの至福」(季節の新鮮な魚介と逸品お肉料理、さらにシェフのスペシャリテが一度に楽しめる9品のコースで、13,650円/税込)の中で、前菜の次に出てくるお料理だ。
まずはバジルソースでソテーした活き車海老を、サラダ仕立てにした焼きナスの上にのせてテリーヌに。そしてさらにその上には車海老の頭とマイクロトマト、カラマタオリーブがあしらってある。現在はギリシャ領だが、14世紀ごろはオスマン帝国の支配下にあったカラマタ。そこで採れるオリーブは世界一美味しいと評判なのだとか。あわせるソースは、酸度0.3パーセントというエーゲ海近辺では最高級といわれるオリーブオイルにザクロ酢をブレンドしたもの。よく見るとパルメザンによく似たチーズもちりばめられているが、それはカシャールというトルコ特有のチーズなのだとか。
車海老と焼きナスの風味が、随所に取り入れられた地元ならではの食材と絶妙に絡み合う。蒼く美しいエーゲ海が瞼に浮かぶ味であった。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

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