ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.76 料亭の味を小粋にカウンターで

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

名料亭の味をカウンターで。お座敷よりも気軽だけれど、料理の味は超一流。そんな素敵な店が江戸情緒を残す神楽坂にある

江戸時代の情緒を感じさせる神楽坂。本多横丁を下ると左側に見えてくるのが見返り横丁。その細い路地の先に「牧」とだけ書かれた灯が見える。この控えめな空間が料亭『牧』の入り口である。今年の9月、改装・リニューアルが終わり1年ぶりに訪れた。

玄関に立つと正面の脇に看板のない扉がある。勇気を出してその戸を開けると、改装前の粋でモダンな情緒はそのままに、新木の香りに包まれた堂々としたカウンターがのぞく。わずか6席しかないカウンターはリニューアルから予約が途切れないほどの人気だ。それもそのはず、現代の名工に選ばれた日本料理の重鎮、高橋料理長自らが腕を振るう正統な日本料理を楽しめるからだ。前菜の牡蠣は初冬、まさに今が旬。バターと醤油の香りとともに、栗色の焼き目がさらなる食欲をそそる。年の瀬にかけてよく実る木の実の中から、相性の良い胡桃をあわせていただく。ほろ苦さと甘み、両極の旨みが味覚を刺激する。基本を大切にした技巧に季節の素材を盛り込んだ料理は、味覚・視覚・聴覚を刺激し、あっという間に時が過ぎていく。

実は高橋さん、日本料理の重鎮といってもとっても気さくで、楽しい会話がどんどん弾む。これでは毎日満席のわけだ。

今月の一皿はなんと「牛カツ」。質の良い食材を探しているうちに山形県の米沢牛に辿りついたという。厳選した牛は、健康と食べやすさを考慮してヒレを使用。薄い衣のサクッとした食感のあとに、牛ならではの甘みも感じられ、とても軟らかくジューシーな一品である。次はぜひお隣りの本格的なお座敷を堪能したい。そう、小割烹カウンターの『牧』は、花柳界、そして名料亭『牧』への入り口でもあるのだ。

写真・阿部昌也 文・下谷友康

Maki

カウンターでの食事は10,500円のコースからで、「牛カツ」もそのコースの中の一品。なお、通常は一見さんお断りのお座敷もダイナースクラブの料亭プランを利用すれば予約することができる(食事は21,000円のコースから。別途席料あり。)。

※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

住所 東京都新宿区神楽坂4-5
電話 03-3267-3037
営業時間 18:00~23:00
定休日 土・日曜・祝日(土曜日は予約のみ)

WEB限定 今月のもう一皿
松輪の鯖寿司とカブラ巻き

わずか6席という、超一流大学の入学試験よりも競争倍率の高いカウンター席。ここに首尾よくつくことができたら、すぐに食べていただきたい一品がある。それは、「松輪の鯖寿司とカブラ巻き」だ。
「さっぱりした味なので、お腹が空いているならまずは先にお腹に入れていただきたい」と、高橋料理長。葉山沖で獲れるという松輪の鯖は、脂がのっていて江戸前では一番なのだという。
冬の名物、江戸前の鯖とシャリをこちらも冬の旬野菜、カブでていねいに包んである。そっと口に運べばほんのりとしたシャリの塩味と鯖の甘味を一度に感じる。そしてその後にさっぱりとして上品なカブの味――まるで口の中で物語が全て完結するようだ。
この一皿だけで、『牧』のすべてが想像できる。そんな完成度の高い味であった。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

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