ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.78 口福のつまみ

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

寿司屋で肴をつまんで酒を飲むほど楽しいことはない。旬を迎えるフレッシュなつまみとご主人おすすめの日本酒で、春を感じて今宵もほろ酔い気分。

西麻布交差点近く、表通りだというのにとってもわかりにくいところにある寿司『あんじょう』。寿司屋ほど「常連」という言葉がぴったりくる店はないが、誰もが2回目から常連になってしまうのがこの『あんじょう』のよいところだ。7席だけの小さな空間は、いつの間にか緊張を解いてくれて、和やかな時間を楽しむ場所へと変わる。

寿司屋での僕のスタイルはまずつまみから。そしてお酒とともにさらにつまみが進む。そんな楽しみ方が好みなら、ここは絶対にハズレはしない。

この日のスタートはなんと九州・佐賀産の「素魚のおどり食い」。ポン酢ベースのだし汁ごと一気に飲み干すと、その食感はなんとも不思議な感じだ。初めてのお客は戸惑うらしいが、これは新鮮だからこそできること。ほんのりとした魚の風味は春の訪れを告げてくれる。

もちろんお刺身も素晴らしい。透明感のある平目はとても瑞々しいし、脂ののった鯖もイケル。そしてご主人セレクトの日本酒は何にでもよく合う。

しばらくすると今度は大きなウニの登場だ。塩水処理だけを施したムラサキウニをスプーンでそっとすくいながら口に運ぶと、潮の香りとともにトロッとした食感が舌にはりつく。新鮮な生ものだからこその味だ。ご主人の竹内さん曰く、「これからが本格的なウニのシーズン到来、毎日どんどん美味しくなりますよ」とのこと。新鮮な海の幸にはやはり力がある。

合間に出てくる焼き物も、のどぐろだったり白子だったり、食べたいタイミングにドンピシャで目の前に出てくるのはたまらない。そろそろ握りを頼もうと思ったら、口直しにコハダとガリのミニ紫蘇巻きが目の前に。握りへの期待感が高まったのは言うまでもない。

ワインの持ち込みもOKとのこと。春の食材に合わせて次回はワインを持ち込もうと密かに企んだ夜だった。

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

あんじょうAnjo

お食事はご主人の竹内さんにお任せするのがよいだろう。予算は一人10,500円(税込・サ別)~。
7席のカウンターのみなので、必ず事前に予約をされることをおすすめする。ワインの持ち込み料は、2,100円/1本。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

住所 東京都港区西麻布4-11-29 西麻布ヒルズ1F
電話 03-6424-5362
営業時間 18:00~23:00
定休日 日曜・祝日

WEB限定 今月のもう一皿
〆の握り

寿司屋の肴が旨すぎると困ることが一つだけある。うまい肴→お酒が進む→さらにうまい肴→ますますお酒が進む、といった相乗効果(?)で、握りまで辿りつけないことがあるからだ。もしくはなんとか辿りつけたとしても、そのころにはすっかり酔いが回っていて、翌朝、不覚にもその味を覚えていなかったりもする。「ああ、ご主人に悪いことしたな~」と反省してみるのだがほとぼりが覚めると、同じことをまた繰り返してしまう。いっそのこと、まずは握りをつまんでから、肴→お酒→肴→お酒、にした方がいいのではないか、と真剣に考えてみたりもする。
そんなことはさておき、肝心の『あんじょう』の握りだ。今回は、完成品ではなく、ご主人がとても大切に扱っているネタ箱を撮影させていただいた。見るからに清潔そうで美しく、その鮮度のよさも疑う余地がない。「やっぱり寿司屋ですから、最終的に寿司を食べていただいて完成です。すし飯に合うようにネタも仕込んでいますしね。これからの季節は、初鰹、桜鯛、さよりがとっても美味しくなりますよ」と、ご主人。すみません、ご主人、これからは真摯に寿司と向き合います、と強く心に刻んだのだった。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

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