ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.90 “至福”のイタリアン

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

東京メトロ日比谷線神谷町の駅から目的のイタリアンに向かうと、東京タワーが左手にぐんと迫ってくる。足元から眺めるそれは威風堂々とした美しさで、なんともいえない幸福感を与えてくれる。

そんな気分に浸りながらたどり着いたのは、昨年10月にオープンしたばかりの『デリツィエ』だ。オーナーの高坂和広さんに店名の意味を尋ねると、「『幸福に至る』といった意味です。食事はもちろんのこと、この空間や雰囲気も含めてトータルで心地よい時間をお客様に感じていただきたいという願いを込めています」とのこと。東麻布という高級エリアにありながらも店内の雰囲気はかしこまりすぎず、ゆったりとして心地よい。

「今月の一皿」として高坂さんが勧めてくれたのは、これからが旬の「花ズッキーニのフリット」。立派なサイズの花ズッキーニの花の部分に自家製リコッタチーズと白身魚をすり潰したものを詰め、卵白とべーキングパウダーの衣でサクッと揚げている。トマト、アンチョビ、ケッパーのソースとからめて食べるとチーズの濃厚な味わいにそっと酸味が加わる。ホックホクの茎の美味しさには、思わず顔もほころぶ。

パスタは同じくこれからますます美味しくなる「桜海老とクレソンのタリオリーニ」。駿河湾から届いた新鮮な桜海老のほんのりとしたピンク色とクレソンの鮮やかな緑の対比がまことに美しい。

メニューは頻繁に替わる。日本の旬の食材がもつ個性を引き立てる料理を心掛けているからだ。だから季節ごとの薫りが漂う『デリツィエ』のメニューを眺めると、日本人であることに思わず感謝してしまう。

ひとつだけ問題があるとすれば、迷ってしまってなかなか料理を決められないこと。でもそんな悩みですら、“幸福に至る”ひと時であるのだけれど……。

写真・水島 優 文・下谷友康

デリツィエ

5月に最盛期を迎える「花ズッキーニのフリット」は必ず注文したい一皿(700円/1本)。桜海老とクレソンのタリオリーニ(1,600円)は、皿の縁にあしらわれた桜海老のパウダーと混ぜていただくと口いっぱいに桜海老の香ばしい風味が広がる。お酒はカジュアルなものからレアなものまで、多種多様なイタリアワインが楽しめる。

住所 東京都港区東麻布1-12-5 1F
電話 03-6441-3433
営業時間 ランチ11:30~15:00(土曜・祝日は12:00~15:00)、ディナー18:00~翌2:00
定休日 日曜

WEB限定 今月のもう一皿
トリュフ風味のデュクセルソース
自家製キタッラ 温玉をのせて

旬の食材にあわせてメニューが変わる『デリツィエ』だが、定番メニューがないわけではない。一年を通じて食べられる、とっておきのパスタを、「今月のもう一皿」として高坂さんが薦めてくれた。

それは「トリュフ風味のデュクセルソース 自家製キタッラ 温玉をのせて」(2,000円)だ。卵好き、クリーム好き、トリュフ好きの方ならこの写真をご覧になっただけで生唾を禁じ得ないのではなかろうか。生クリームにブラウンマッシュルームを刻み、トリュフオイルを加えた濃厚なソースと温かい半熟卵は、文句なしの黄金の組み合わせだ。このソースにからんでいるのは、キタッラという生パスタ。キタッラとはイタリア語でギターの意。ギターの弦のようなパスタを作る道具で生地をカットして作られる。歯ごたえがしっかり残ったキタッラは、ソースや温卵とこっくり絡み、もう言うことなど何もなし。こんな悶絶の濃厚パスタが定番となると、ますますメニュー選びが難しくなる。なんとも悩ましい限りだ。

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