ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.95 魚が主役のビストロ

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

空が高く、からっとした秋晴れのある日、友人と一緒に広尾から散歩し、恵比寿駅近くの『ビストロシロ』を訪れた。

ランチの開店前から何人もの女性が並んでいる。どうやら人気店のようだ。席に通されると、なるほど美味しそうなメニュー が並ぶ。ランチ名物「本日の鮮魚のロースト」をオーダーする。この日はイサキ。表面はカリカリに焼かれ、ほどよい触感だ。早速オリーブソースにからめていただく。そのあまりの美味しさに、いつもの癖で、早速ディナーの予約をした。

そして、満を持して再訪。メニューを改めて見回すと、どこにも肉がない。そう、『ビストロシロ』はいっさい肉なし、魚介のみで勝負している店なのだ。数ある前菜の中から「生ウニのガーリックトースト添え」を注文する。箱ごと豪快に登場するウニは北海道・利尻産だ。生ウニをカリカリに揚げたガーリックトーストに載せて口の中へ。ふわっとしたウニとビスケットのようなパンの組み合わせがなんとも面白い。

店長の保賀寛和さんのいち押しは、「シロ特製ブイヤベース」だ。マルセイユの“ブイヤベース憲章”にのっとり、この日はホウボウと黒鯛を中心に、香草とリキュールを加えながらかなりの時間をかけて仕上げている。この“ブイヤベース憲章”、昔ながらの味を守るためにマルセイユで定められたもので、現代においても受け継がれているのが興味深く、マルセイユの人々のブイヤベースに対する思いがいかに強いかを感じさせる。海鮮風味なスープはあっさりとしていながら味わい深く、魚介の旨みがよく凝縮されている。

ほどよく食べたところで「リゾットにしませんか?」と保賀さんがチーズとご飯を持ってきた。これはすごい。もしかしたらこれがメインなのかもしれない(笑)。気楽に肩肘張らずに、日常的においしく食べられるビストロ――こういう店は案外少ない。

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

ビストロシロ

女性に人気のランチコースは、野菜のポタージュ、サラダ、メインディッシュ(5~6種類の魚料理からのチョイス)、小さなデザート、コーヒーまたは紅茶がついて1,450円とかなりのお得。「北海道産の生ウニのガーリックトースト添え」は、小箱1,800円と大箱3,400円。保賀店長おすすめの「シロ特製ブイヤベース」は3,500円~。

※価格は税抜です。

住所 東京都渋谷区東3-9-12
電話 03-6427-9200
営業時間 ランチ11:30~15:00、ディナー18:00~23:30
定休日 無休

WEB限定 今月のもう一皿
ヤリイカと茄子・ポワロー葱のフリカッセ

本誌では、『ビストロシロ』の定番メニューをご紹介したので、WEB限定の「今月のもう一皿」には、見るも楽しい黒板メニューから選ぶことにした。それが、この「ヤリイカと茄子・ポワロー葱のフリカッセ 」(1,500円/税抜)だ。
イカの料理にクリームソースが使われているのはなんともめずらしい。さすがは魚介類専門のビストロだけあって、調理のバリエーションも多岐にわたっている。
さて、運ばれてきたイカをそっと口に運んでみる。クリームソースの中にチーズも入っていて、淡白なイカにしっかりとしたコクが絡まっている。だがそれなのに、なぜかさっぱりともしている。その秘密は驚きの隠し味、カニ味噌なのかもしれない。イカ、クリームソース、カニ味噌というユニークなトリオのハーモニーが何とも楽しい一皿だった。
魚介類オンリーのビストロということで、ヘルシー志向の女性に人気の店だが、男性が食べても物足りなさはまったくなく、お腹はきっと満たされるだろう。もともとアンティークショップだったというこの店の真ん中には、その当時からのアンティークなエレベーターが残されている。なんだか懐かしい気分にさせてくれるのも、この店のよいところだ。

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