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<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」

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レストランガイドはミシュランだけではない。

4月初め、アメリカに本社のあるグラムメディア社が「Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide」という世界のレストランガイドをインターネット上で発表した。これは世界の15名の選者(アメリカ3人、日本3人、シンガポール1人、インド1人、フランス3人、イギリス1人、それにグラムメディア社3人の計15名)がそれぞれ世界のトップ100軒に相応しい店を25軒づつ投票し、それを集計した結果で、選者の一人に私も入っている。

秘密調査員による「ミシュラン」の格付けや、毎年イギリスで発表される世界700人の無記名投票で選ばれる「世界の50レストラン」とも性格をことにするレストランガイドである。世界のトップ100軒のうち、29軒がフランス、28軒の日本がそれに続いている。その28軒の中でフランス料理店はわずかに2軒、大阪の「Hajime」と今回の「ESqUISSE」のみである。

フランス版の“UMAMI”。

「ESqUISSE」は昨年6月に開店して、まだ1年経っていない。にもかかわらず、すでに世界の最前線に躍り出ているレストランである。シェフのリオネル・べカさんは、以前は新宿のホテル「ハイアット・リージェンシー」にある「キュイジーヌ [s] ミッシェル・トロワグロ」のシェフだった。当時から、日本の食材に興味を持ち、厨房のスタッフに「自分の家で食べている食材を持ってきてほしい」とお願いし続けて、勉強をしてきた。

その中で「ESqUISSE」で結実したひとつが、鰹節ならぬ「鴨節」ではなかろうか。鴨肉を乾燥させ、旨みを凝縮させ、ひと目見ただけでは何だかわからない。昨年夏、テーブル脇に、削り節器が登場して、メートルドテルが鰹節の要領で鴨節を削り出したときはびっくりした。これをすでに出来上がっているブイヨンに、「追い鰹」のように加えるのである。



日本の食材×シェフ=“ESqUISSE”

べカシェフオリジナルの、日本の食材からヒントを得た新しい味わいの一皿である。べカシェフの父親はチュニジア人、母親はイタリア人、そのためか、彼の皿からは地中海の光と香りが溢れている。ほとんどの皿に柑橘系の香りが漂っていて、オレンジ、ライムなどの中にもちろん日本のゆずの香りが添えられている。そのためか、夏場の東京で食べても、印象は爽やかで、もはやフランス料理のジャンルを超えていると言っても過言ではない。

「益博さん、今、どこのレストランがお気に入り?」と訊かれるたびに「ESqUISSE」の名前を挙げるのだが、そのつど「なに料理?」と問い返される。「フランス人が作るのだから『フランス料理』」と言いたいのだが、私はいつも「きょうの料理」と答えている。べカシェフが、今日調理場に届いた食材を前にし、経験と感覚を総動員してインスピレーションを働かせ、「昨日」でも「明日」でもないまさしく「きょう」のみの一期一会の料理。いまや、料理はグローバル化し、食材も人材も国境を越えてゆく。

こんな言葉はないかもしれないが、べカシェフの作る料理はもはやフランス料理ではなく「キュイジーヌ・オージュールドゥルイ(きょうの料理)」である。※店名のエスキス(esquisse)は、フランス語で“素描”の意

文 山本益博 写真 長岡博史

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

ダイナースクラブカード会員限定特典

  • ●ディナーコースをご利用のダイナースクラブカード会員様とご同伴の方のコース内の「シャンパン」および「コースの一皿」を特別なものにアップグレードいたします。

優待期間 : 2013年5月24日~2013年6月19日ご利用まで

  • ※ご予約時に、ダイナースクラブカード会員である旨をお伝えください。
  • ※ご予約は、平日・土曜午前11時~午後8時までに直接お店にご連絡ください。
  • ※ご予約なしでご来店の場合は、ダイナースクラブカードをご提示ください。
  • ※特典はディナータイムのみご利用いただけます。

ESqUISSE(エスキス)

〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目4-6 ロイヤルクリスタル銀座 9階
03-5537-5580

営業時間
ランチ 12:00~13:00 L.O.
ディナー 18:30~20:30 L.O.
定休日 日曜日
  • ※お料理は、旬の素材とシェフの創作によるコース料理 Menu spontane(ムニュ・スポンタネ)のみです。
  • ※別途サービス料10%をいただきます。
  • ※中学生以上のお客様よりご利用いただけます。
  • ※男性はジャケットの着用をお薦めします。
  • ※全席禁煙です。
  • ※イベント等、貸切の際は特典対象外となります。あらかじめご了承ください。
  • ※お支払いにはダイナースクラブカードをご利用ください。

バックナンバー

  • 第一回 六本木「イマカツ」
  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
  • 第三十回 築地「和光」
  • 第三十一回 銀座「Furuta」
  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
  • 第三十五回 麻布台「SUGALABO」
  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
  • 第三十七回 三田「コート・ドール」
  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
  • 第三十九回 上野・御徒町「ぽん多本家」
  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
  • ※バックナンバーでご紹介しているメニュー、料金、時間などの内容は取材した時点での情報であり、予告なく変更となる場合があります。また店舗の都合により予告なく閉店している場合もありますのであらかじめご了承ください。

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