ホーム > グルメ > 第十八回 白金台「TIRPSE」 <山本益博の料理エッセイ> この店、私のお気に入り

<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

第十八回 白金台「TIRPSE」

バックナンバー

東京を代表するフランス料理店から

東京を代表するフランス料理店の「カンテサンス」が2013年夏、品川の御殿山にレストランを移した。
使い勝手のよい厨房の中で、自分の目指す料理を作りたいという一念で、店のスペースは広くなったものの席数はほぼ同じという、とても居心地の良い店となった。

その「カンテサンス」が移転した後、それまで店で働いていたスタッフが受け継いで新しくレストランを開いたのが「TIRPSE(ティルプス)」である。

移転先の「カンテサンス」で食事していたとき、前の店のことが話題になり、サービスのスタッフに伺うと、まだ店の状態が万全ではなく、つまり、厨房の料理人の数は限られ、サービスはオーナー本人がひとりでテーブルを廻っているとのことだった。

それを聞いて、半年ぐらい経ってから出かけてみようとも考えたのだが、再び「カンテサンス」に出かけたとき、「一度、行ってみてやってください。まだお客様が少ないですけど、頑張ってますから」とのことをサービスの支配人の小澤さんばかりか、岸田シェフもそのようにおっしゃるものだからと、ようやく重い腰を上げて出かけたのが11月のことだった。

新・料理宣言

テーブルについて差し出されたメニューが、まず目を引いた。

「伝統と異文化がつながるデザイン」「『Tirpse(ティルプス)』は、「ESPRIT」という言葉を逆さにした言葉 フランスの精神を隠し持たせた名前です。」「日本・フランスだけじゃなく、世界中の郷土料理やそこにあるものを噛みなおしてみる。」「世界的な歴史・文化を振り返り、新たな価値・メッセージを創出していきたいとおもっています。」

なんと素晴らしい「新・料理宣言」ではなかろうか。期待がいやがうえにも膨らんだ。そのメニューをひっくり返してみると、日付に続いて料理名が列記されていた。

見事な構成のディナー

1|Amuse アールグレイをタマネギで 2|Entree 山小屋の原木しいたけ 3|Entree イカにフヌイユの甘い香りをそえて…と言った具合である。メニュー表記が斬新で、料理人の年齢が30代前半くらいに思え、期待がさらに膨らんでいったのだった。

素晴らしかったのが、5|Entree 柿の下のフォアグラ。柿とフォアグラをタルト状に重ねて層にしてある前菜の一皿。熟した柿の香り、甘味がフォアグラの油脂と調和し、定番化したいちじくなどとの相性とまた別次元の美味しさを表現していた。主菜の鴨の火の通しもパーフェクトに近く、シャラン鴨の魅力を最高度に発揮させていた。

デザート前の「恋水」と呼ばれる和菓子テイストのひと皿も素敵な印象を残した。10|Dessert のブルーチーズを使ったBlue Mountainまで見事な構成のディナーだった。

待ち望んでいた若き料理人

帰り際、店の玄関に挨拶に出てきたシェフは、想像していた以上に若く、精悍な顔つきをした青年だった。
名前を寺田惠一といい、年齢は28歳とのことだった。このところ探し続け、私が待ち望んでいた若き料理人は、まさにここにいたのである!これから、隔月ごとにでも通いたいレストランである。

文 写真 山本益博

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

ダイナースクラブ会員限定特典

  • ●ウェルカムドリンク 一杯をダイナースクラブ会員様と同伴者様にサービス

優待期間 : 2014年1月15日~2014年2月28日まで。

  • ※ご予約は、お店に直接ご連絡ください。
  • ※ご予約時に、ダイナースクラブ会員である旨をお伝えください。

TIRPSE (ティルプス)

〒108-0071
東京都港区白金台5−4−7 BARBIZONE25 1F
03-5791-3101

営業時間
月~土:昼 12:00~13:00(L.O) 夜 18:00~20:30(L.O)
定休日 日曜
  • ※おまかせコース:ランチ6,000円 ディナー12,000円(税抜)、サービス料10%
  • ※お子様同伴のご来店はお断りしております。
  • ※イベント等、貸切の際は特典対象外となります。あらかじめご了承ください。
  • ※お支払いにはダイナースクラブカードをご利用ください。 

バックナンバー

  • 第一回 六本木「イマカツ」
  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
  • 第三十回 築地「和光」
  • 第三十一回 銀座「Furuta」
  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
  • 第三十五回 麻布台「SUGALABO」
  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
  • 第三十七回 三田「コート・ドール」
  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
  • 第三十九回 上野・御徒町「ぽん多本家」
  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
  • ※バックナンバーでご紹介しているメニュー、料金、時間などの内容は取材した時点での情報であり、予告なく変更となる場合があります。また店舗の都合により予告なく閉店している場合もありますのであらかじめご了承ください。

SIGNATURE SIGNATUREでも料理評論家、山本益博氏おすすめの銀座のお店をご紹介しています。料理の楽しみ方や食卓の流儀を学ぶ食事会もご案内。 今すぐアクセス