ホーム > グルメ > 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス <山本益博の料理エッセイ> この店、私のお気に入り

<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス

バックナンバー

隠し味の「地上180m」。

愛宕グリーンヒルズの42階にある「XEX(ゼックス)」は、11年前のオープン当初からの私のお気に入りの1軒。ワンフロアにイタリア料理の「サルヴァトーレ クオモ ブロス」と「aburiyaki & sushi An」のすしカウンターがある。和食のコーナーで食事をするときでも、イタリアンのピッツァとパスタが注文できるというのが、とても好都合なのである。「aburiyaki & sushi An」のすしカウンターからは、遠くにスカイツリーが見え、「サルヴァトーレ クオモ ブロス」からは真近に東京タワーが眺められ、天気がよくて空気が澄んでいるときには富士山までが望めるという絶好のロケーションもいい。

さて、今回は「サルヴァトーレ クオモ ブロス」のご紹介。

ナポリの本格ピッツァ、日本上陸。

「サルヴァトーレ」と言えば、ピッツァが欠かせない。それまでアメリカ経由で日本にやってきたものがピザと呼ばれていたのだが、南イタリアのピッツァ専門店の御馳走を直輸入の形で日本に定着するきっかけを作ったのがサルヴァトーレ・クオモだった。
1980年代、サルヴァトーレ三兄弟が中目黒に開いたイタリア料理店で売り出した本格派のナポリ・ピッツァは、それまでのピザとは大違い。まずピッツァの生地が粉のうま味たっぷりで、トマトソースは濃くて甘酸っぱく、それを包むようにモッツァレッラチーズが甘く溶けていった。

ピッツァ・マルゲリータ(店舗提供)

ピッツァの基本である「ピッツァ・マルゲリータ」は、トマトソースの赤、モッツァレッラの白、そこに添えられたバジリコの葉の緑とイタリア国旗そのもの。この色どりが食欲を掻きたてる。だから「XEX」へやってきたら、この「ピッツァ・マルゲリータ」を食べずにはいられない。とはいえ、このピッツァを1枚食べては、これだけで結構お腹がいっぱいになってしまう。そこで、特別にお願いして小型の「ピッツァ・マルゲリータ」を焼いてもらうのだ。小型のピッツァは具のバランスをとるのがかなり難しいのだが、そこがピッツァイオーロ(ピッツァ職人)の腕の見せ所である。

キャヴィアと毛蟹の冷製のカッペリーニ

3つ星と“ざるそば”の出会い。

そのあとは、キャヴィアと毛蟹を添えた冷たいカッペリーニがいい。熱々のピッツァのあとの冷たいアクセントと、細麺好きの私たちを必ず満足させてくれるパスタなのである。
ちなみに、この冷たいパスタは、1985年、当時のミラノの「ミシュラン」3つ星シェフ、グァルティエロ・マルケージが日本へやってきて、「ざるそば」をヒントにキャヴィアのスパゲッティーニを自分の店で出したのが嚆矢である。冷たいパスタの後の主菜は「仔羊のカツレツ」がお薦め。とんかつの原型と言われている「ミラノ風カツレツ」は仔牛にパン粉の衣をまとわせて、少なめの油で焼き揚げたものだが、この仔牛を仔羊に代えて調理した点がユニークで、これがローストした料理とひと味違って、日本人好みの美味に仕上がっている。

デザートをいただいたあとは、エスプレッソを忘れずに。熱くて濃くて苦味があるのに、後口のじつによいエスプレッソである。

仔羊のカツレツ

SIGARO シガーロ

写真・文 山本益博

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

XEX ATAGO GREEN HILLS / Salvatore Cuomo Bros.
XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス

〒105-6242
東京都港区愛宕2-5-1 MORIタワー42F
03-5777-0065

営業時間
ランチ 平日    11:30 ~15:00 (L.O.)14:30
土・日・祝 11:30 ~15:30 (L.O.)14:30
ディナー 平日、土・日・祝 17:30~24:00 (L.O.) 23:00
定休日 不定休(森タワー休館日に准ずる)
  • ※月~土曜日は中学生以上、日曜祝日は小学生以上のお客様よりご利用いただけます。

バックナンバー

  • 第一回 六本木「イマカツ」
  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
  • 第三十回 築地「和光」
  • 第三十一回 銀座「Furuta」
  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
  • 第三十五回 麻布台「SUGALABO」
  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
  • 第三十七回 三田「コート・ドール」
  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
  • 第三十九回 上野・御徒町「ぽん多本家」
  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
  • ※バックナンバーでご紹介しているメニュー、料金、時間などの内容は取材した時点での情報であり、予告なく変更となる場合があります。また店舗の都合により予告なく閉店している場合もありますのであらかじめご了承ください。

SIGNATURE SIGNATUREでも料理評論家、山本益博氏おすすめの銀座のお店をご紹介しています。料理の楽しみ方や食卓の流儀を学ぶ食事会もご案内。 今すぐアクセス