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<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

第二十二回 広尾「はしづめ」

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今、ニューヨークは「Ramen」ブーム

このところ、1年に1回はニューヨークへ出かけている。目的はメトロポリタンオペラで、その合間を縫ってレストランを訪れているが、今ニューヨークはラーメンブームに沸いている。昨年出かけて面白かったのは、夜の11時30分まではすし屋、12時半から同じ店で衣替えせずにラーメン屋になっている店があり、すしの「牛若丸」もラーメンの「弁慶」も、とても美味しかった。今年3月には、日本から出店して大成功している「IPPUDO(一風堂)」と、地元の中華料理で評判をとっている「Momofuku」の姉妹店「Momofuku NoodleBar」へ出かけてみた。

どちらも、開店早々に出かけたもののすでに客が行列していた。そのどちらの「Ramen」にも共通していたのは、スープの量がとても少ないことだった。欧米人は猫舌の人が多いから、スープも麺も熱々ではサービスされないのではと思いきや、どちらの店も熱さは、日本に比べ問題なかった。

明らかに日本のラーメンとの見た目の違いは、スープの量で、麺のボリュームすれすれにしかスープが張られていない。食べてみると納得するのだが、麺とスープのバランスがとてもよく考えられていて、周りを見回しても、スープを残す客が全くいないのだ。これは、目を瞠るような発見だった。「ニューヨークのRamenは日本のラーメンより進化を遂げている」というのが正直な実感だった。

注目したい製麺会社が開いた店 広尾「はしづめ」

そこで、注目したいのが、広尾の「はしづめ」である。

中華料理店ではあるが、60年以上にわたって製麺業を続けてきた製麺会社が開いた店だけに、昼でも夜でもメニューに載る「麺」が他店と一味違うのである。

毎日、4種ほどの麺が作られているのだが、席に着くと「ゆず」「ごぼう」「モロヘイヤ」「山椒」などが打ち込まれた麺が目の前に運ばれてくる。
その麺を選んでから、スープと具材を組み合わせた一品を組み立てる仕組みになっている。

このところの私のお気に入りは「山椒」を打ち込んだ麺を使って「担々麺」を作ってもらうスープ麺である。
私は正直に言って、辛い料理はあまり得意ではないのだが、はじめてこの組み合わせで注文した時、いつもはスープから味見を始めるのに、麺を一箸掬い上げて口に運ぶと、麺をかんだ途端に、山椒の香りが口中に広がった。
それはなんとも爽快な香りと辛さのハーモニーを醸し出したものだった。汗かきながら、こういう中華そばの進化もあるのだと、納得しながら、じわじわと胸に迫ってくるものがあった。

いま、東京で最もユニークな中華料理店の1軒

以来、もう何度も通っている。

製麺会社が開いている麺処だからこそできる技ありの逸品である。
こういう工夫を考える店だから、夜のメニューもユニークである。

「スルメイカの紹興酒漬け」などはスタンダードな料理と言ってよいが、コースでは「フォアグラのフラン 蟹みそあんかけ」のようなオリジナル中華もある。

いま、東京で最もユニークな中華料理店の1軒と言ってよい。

文 写真 山本益博

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

ダイナースクラブ会員限定特典

  • ●ディナー時に「春巻き」をサービス

優待期間 : 2014年5月 中旬~2014年6月末日まで。

  • ※ご予約は、お店に直接ご連絡ください。
  • ※ご予約時に、ダイナースクラブ会員である旨をお伝えください。

はしづめ

〒106-0047
東京都港区南麻布5-16-10 カルチェブラン広尾2F
03-6277-2183

営業時間
ランチ  :11:30~15:00 (L.O. 14:30)
ディナー:18:00~22:30 (L.O. 22:00)
定休日 日祝
  • ※店内は全席禁煙です。
  • ※定休日、貸切の際は特典対象外となります。あらかじめご了承ください。
  • ※お支払いにはダイナースクラブカードをご利用ください。

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  • 第一回 六本木「イマカツ」
  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
  • 第三十回 築地「和光」
  • 第三十一回 銀座「Furuta」
  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
  • 第三十五回 麻布台「SUGALABO」
  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
  • 第三十七回 三田「コート・ドール」
  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
  • 第三十九回 上野・御徒町「ぽん多本家」
  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
  • ※バックナンバーでご紹介しているメニュー、料金、時間などの内容は取材した時点での情報であり、予告なく変更となる場合があります。また店舗の都合により予告なく閉店している場合もありますのであらかじめご了承ください。

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