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<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

第三十一回 銀座「Furuta」

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「開化亭」で出会った忘れられない美味しさ

岐阜に「開化亭」という中国料理店がある。

10年ほど前、大阪の友人たちに誘われて出かけて食べて以来、どれほど東京から通ったかわからない。
コンクリート打ちっぱなしの店内で、1階はカウンター席8席のみ、2階はテーブル席になっていて、内装は実に素っ気なく、料理が運ばれてこなければ、とても中国料理店には見えない装いである。

ところが、次々に目の前に現れる皿を見て、目を丸くし、食べて唸り続けてしまった。
今でも忘れられないのは「冷製ビーフンのキャヴィア添え」。
太白のごま油で和えたビーフンのうえに灰色のキャヴィアを盛り込んだ一皿。
これほどキャヴィアの旨味を引き出した料理は、1980年代半ばミラノの「グァルティエロ・マルケージ」で食べた「冷製スパゲッティーニ・キャヴィア添え」以来で、それはそれは衝撃的な美味しさだった。

次に出かけたときは初春で、「ほたるいかの黒酢ゼリー寄せ」に痺れた。
ほたるいかと黒酢の絶妙な相性!和食では味わうことのなかったほたるいかだった。

季節ごとに味わう料理の傑作たち

夏に訪れると、「鮎の春巻き」に舌を巻いた。
ご主人古田等さんが日本一と呼ぶ地元の鮎を、まずは三枚に下ろし、骨のみ火を通し、そして再び整形し直して、春巻きの皮で巻いて揚げたものである。
鮎の香ばしさ、緻密な身の味わいが春巻きの中にすべて閉じ込められ、頬ばった瞬間、口の中で花開く。
これは「鮎の塩焼き」に匹敵する唯一の鮎料理の傑作なのではなかろうかと思った。

それからまだある。「フカヒレのステーキ」である。
上等のフカヒレを丁寧に掃除した後、上湯(中華の出汁)の味を染み込ませて置き、調理の際には、フカヒレを取り出し、それに粉をはたき、餃子を焼き上げる鍋で焼き上げてゆく。
仕上げは上湯にとろみをつけてフカヒレの上からかけ回し、青味を添えてでき上がり。
こんな香ばしいフカヒレ料理は他にはないのではなかろうか。

「開化亭」の魅力を受け継いだ、ユニークな中国料理店の誕生

というわけで、この10年間、私が選ぶ日本の中国料理店ベスト3と言えば、「福臨門」「厲家菜」「開化亭」だった。
この「開化亭」のご主人古田さんが岐阜の店を長男に譲って、昨年末、銀座に「Furuta」の名前で店を出した。
店内は岐阜の「開化亭」同様、カウンター8席のみの会員制のような店である。

岐阜では、昼だと「担々麺」を食べるだけのビジネスマンが大勢押しかけてきていたが、こちらは夜のみの営業で、コースは3万円から、要望によりいくつものおまかせコースがあります。
3万円の上級コースだと、「冷製ビーフンのキャヴィア添え」も「フカヒレのステーキ」もどちらも味わえる。
もうひとつのコースだと、どちらかの選択となる。
季節の名品がいくつもあるが、冬ならば猪の料理も素晴らしい。
食事の最後は、名物「担々麺」ほかいくつもの麺が用意されている。東京に極めてユニークな中国料理店の誕生である。

文 写真 山本益博

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

ダイナースクラブ会員限定特典

  • ●ダイナースクラブカード会員含めご同伴者様へ紹興酒を1杯サービスします。

優待期間 : 2015年2月20日(金)~2015年3月20日(金)まで

  • ※ご予約は、お店に直接ご連絡ください。
  • ※ご予約時には必ず「ダイナースクラブカード会員で山本益博さんの記事を見た」ことをお伝えください。

Furuta

〒104-0061
東京都中央区銀座1-21-14

03-3535-5550 ※完全予約制

営業時間 17:00~22:30(L.O. 20:30)
定休日 日曜日・月曜日
  • ※全席禁煙となります。
  • ※中学生以上のお客様は大人のお客様と同じメニューとなります。
  • ※定休日および特別イベント時は特典対象外となります。あらかじめご了承ください。
  • ※お支払いには、ダイナースクラブカードをご利用ください。

バックナンバー

  • 第一回 六本木「イマカツ」
  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
  • 第三十回 築地「和光」
  • 第三十一回 銀座「Furuta」
  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
  • 第三十五回 麻布台「SUGALABO」
  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
  • 第三十七回 三田「コート・ドール」
  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
  • 第三十九回 上野・御徒町「ぽん多本家」
  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
  • ※バックナンバーでご紹介しているメニュー、料金、時間などの内容は取材した時点での情報であり、予告なく変更となる場合があります。また店舗の都合により予告なく閉店している場合もありますのであらかじめご了承ください。

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