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<山本益博の料理エッセイ>この店、私のお気に入り 山本益博

第八回 日比谷「レ セゾン」

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フランス料理界も生まれ変わった1980年代。

1980年代半ばまで、ホテルのメイン・ダイニングと言えば、フランス料理と決まっていて、フランス料理界をリードする存在だった。それが、街場のレストランがシェフの個性とユニークな料理を売りものにして人気を博してくると、どのホテルもキャビア、フォアグラ、舌平目、ステーキなどフランス料理の定番料理を並べた総花的なメニューでは魅力が乏しくなってしまっていた。

そこで、いち早く新しいスタイルを打ち出したのが帝国ホテルで、ホテルの豪華なメイン・ダイニングと言うよりお洒落なレストランとして装いも新たにオープンしたのが「レ セゾン」だった。それが、1980年代後半。その後、さらに内装を改めたのだが、「レ セゾン」が本当に生まれ変わったと言えるのが、現在のティエリー・ヴォワザンシェフが着任してからではなかろうか。

「ジェラール・ボワイエ」の秘蔵っ子。

フランス・シャンパーニュ地方の3つ星、ランスのホテル・レストラン 「レ・クレイエール」からシェフがやってきたという噂を聞きつけたのが、7年ほど前だったろうか。「レ・クレイエール」は別名「ボワイエ」と呼ばれていて、8ヘクタールの敷地に建てられたシャトーがホテル・レストランに生まれ変わり、シェフのジェラール・ボワイエが厨房を取り仕切って、1979年に「ミシュラン」3つ星を獲得、一躍世界にその名をはせた。

ヴォワザンシェフは、そのジェラール・ボワイエの秘蔵っ子と言うわけである。80年代、私は何度かここを訪れ、あるときはTBSのテレビ番組で渡辺文雄さん、三雲孝江さんと一緒に食卓で美味しい料理にシャンパンを傾けながら、舌鼓を打った楽しい経験をさせていただいたこともある。

「レ セゾン」でヴォワザンシェフの料理を初めていただいたのが、確か初夏だった。そのときのアスパラガスの料理は、1本のアスパラガスから3つの持ち味を引き出した皿でいまだに鮮烈な記憶として残っている。それからは何度も仲間を誘ってはこの店へ出かけて、ヴォワザンシェフの料理を楽しんでいる。ホテルにあるフレンチレストランの中では、その回数は圧倒的に多いのではなかろうか。間違いなく「私のお気に入り」の1軒である。

気さくなシェフに会えるメインダイニング。

冬になると必ず楽しむのが、ボワイエ直伝の「トリュフのパイ包み焼き」。トリュフを丸ごと1個パイ包み焼きしたヴォワザンシェフのスぺシャリテ。贅沢この上ないが、これをいただくとトリュフの真価を知って、虜になってしまう。ヴォワザンシェフの料理は伝統に敬意を払って、クラシックをベースに、素材の組み合わせに変化をつけながら、香りを重視し、そしてソースを軽快にして、「今日」の料理に仕上げてある。最近は日本の食材を盛んに取り入れているのが興味深い。

どのテーブルにも笑顔で挨拶に出てくるその姿は、清潔感に溢れ、気さくでかっこいい。サービススタッフも同じ心意気で、ヴォワザンシェフの料理を愛おしくサービスする。何とも心地よい時間が過ごせるホテルでは稀に見るレストランである。

  

文 山本益博

プロフィール

山本益博

1948年(昭和23年)東京・浅草生まれ。料理評論家。
1973年よりフランスへ出かけて料理とレストラン文化を研究、2014年、フランス政府より農事功労章オフィシエを授与される。米国グラムメディア社『Foodie Top 100 Restaurants: Worldwide』の選者の一人。
「人間味という味が、いちばん美味しい」(大和書房)など食に関する著作のほか、「立川談志を聴け」(プレジデント社)、「名人芸の黄金時代 桂文楽の世界」(中公文庫)などオペラや落語、イチローに関する著作も多い。Webサライで「ひと皿の歳時記」ほか、最新の料理情報などを掲載。「美食の世界地図」(竹書房新書)を2014年1月に上梓。2014年9月に小学館より『鮨 すきやばし次郎 JIRO GASTRONOMY』を出版。

ダイナースクラブカード会員限定特典

  • ●ランチ・ディナーを通常価格より10%優待いたします。

優待期間 : 2013年3月27日~2013年4月23日ご利用まで

  • ※ご予約時に、ダイナースクラブカード会員である旨をお伝えください。
  • ※ご予約は、前日の午前中までにお店に直接ご連絡ください。ご予約なしでご来店いただいた場合には、ダイナースクラブカードをご提示ください。
  • ※お支払いにはダイナースクラブカードをご利用ください。

レ セゾン

〒100-8558
東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル東京 本館中2階
03-3539-8087

営業時間
:11:30~14:30(L.O.)
:17:30~ 22:00(L.O.)
定休日 無し
  • ※優待除外日を設けることがございます。事前に店舗までお問い合わせください。
  • ※男性の方はジャケットをご着用ください。
  • ※3歳以下のお子様同伴でのご利用は、個室のみとなります。

バックナンバー

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  • 第二回 XEX 愛宕 グリーンヒルズ/サルヴァトーレ クオモ ブロス
  • 第三回 福臨門酒家 銀座店
  • 第四回 神楽坂 東白庵かりべ
  • 第五回 六本木「Restaurant Ryuzu」
  • 第六回 神谷町「ダ オルモ」
  • 第七回 「NINJA AKASAKA」
  • 第八回 日比谷「レ セゾン」
  • 第九回 六本木「厲家菜(レイカサイ)」
  • 第十回 銀座「ESqUISSE(エスキス)」
  • 第十一回 「新ばし笹田」
  • 第十二回 西麻布「レフェルヴェソンス」
  • 第十三回 「青空」(はるたか)
  • 第十四回 みかわ 是山居(みかわぜざんきょ)
  • 第十五回 フレンチファインダイニング「シグネチャー」
  • 第十六回 アルヴェアーレ
  • 第十七回 すきやばし次郎
  • 第十八回 白金台「TIRPSE(ティルプス)」
  • 第十九回 銀座「流石Le蔵」
  • 第二十回 六本木「エディション・コウジ シモムラ」
  • 第二十一回 南青山「鮨ます田」
  • 第二十二回 広尾「はしづめ」
  • 第二十三回 五代目 野田岩 麻布飯倉本店
  • 第二十四回 銀座「馳走啐啄(そったく)」
  • 第二十五回 五反田「ヌキテパ」
  • 第二十六回 日本橋室町「LA BONNE TABLE」
  • 第二十七回 麻布十番「ケ・パッキア」
  • 第二十八回 東銀座「ムッチーニ」
  • 第二十九回 銀座「ル・ブール・ノワゼット トウキョウ」
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  • 第三十二回 神楽坂「山さき」
  • 第三十三回 銀座「ときとう」
  • 第三十四回 六本木「BLT STEAK ROPPONGI」
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  • 第三十六回 家全七福酒家 銀座店
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  • 第三十八回 四ッ谷「後楽寿司 やす秀(みつ)」
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  • 第四十回 西麻布「マルゴット・エ・バッチャーレ」
  • 第四十一回 銀座「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」
  • 第四十二回 根津「釜竹」
  • 最終回 丸の内・パレスホテル東京「クラウン」
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