GOURMET ― ALAIN DUCASSE

東京で味わう、ふたつのアラン・デュカス

現在、パリ、モナコ、ロンドンに自らの名を冠した3つ星レストラン3軒を運営するアラン・デュカス。驚くことに、世界中に二十数店舗ある系列店の味を、一皿ひと皿すべて自分の舌で確かめるのだという。

いま、東京に存在するふたつのアラン・デュカスの味を求めて、世界中からグルメファンがやってくる。
日本の厳選素材を用いた旬のフレンチと、パリの雰囲気を映したカジュアルなビストロ。
ふたつのレストランの試食に同行し、その類いまれなる味覚と素材選びの秘訣を探った。

文・勅使河原加奈子 
写真・五十嵐隆裕(ベージュ アラン・デュカス 東京)、鏑木 穣(ブノワ)

Text by Kanako TESHIGAWARA 
Photographs by Takahiro IGARASHI & Minoru KABURAGI(SIGNO)

BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO

ベージュ アラン・デュカス 東京

―素材への確かな眼差し―

les légumes

野菜の旬を見極める

 午後の和らいだ光が差し込む厨房。神々しいほど新鮮な野菜が、その人を待っていた。「フランスと比べても遜色がない」とアラン・デュカスが絶賛するのは、神奈川県伊勢原市の生産者から届くグリーンアスパラガスである。その横に並ぶホワイトアスパラガスは香川産、ラディシュは千葉産、そして珍しいイタリア原産のそら豆「フェヴェット」は『ベージュ アラン・デュカス 東京』の小島景 総料理長が10年前から毎朝通っている鎌倉の市場から。「素材至上主義」とも呼ばれるアラン・デュカスの料理に、これら選りすぐりの野菜はどんなアクセントを与えるのだろう。

le crustacé

産地と旬のバランス

 透き通る紅色のボタンエビが、函館の魚屋から生きたまま届いた。極上の素材を手に入れるには、何か秘策があるのでは? と思いきや、季節のおすすめを送ってもらうだけ、と小島総料理長は言う。互いの信頼がなければ成り立たない、遠く離れた産地との密接な関係がそこにはある。熱した鍋で殻ごとさっと火を入れたボタンエビは、軽やかな酸味のヴィネグレットソースをまとい、添えられるのはウドや人参、カブなど季節の野菜サラダのみ。テーマは旬の食材の発見。夜のコースメニュー「コレクション オートクチュール」でゆっくりと噛みしめたい前菜のひとつだ。

le bœuf

滋味を引き出す

 尾崎牛との出合いは1年ほど前のこと。宮崎市の尾崎牧場を訪れた小島総料理長が驚いたのは、いくらでも食べ続けられるその軽やかさだった。『ベージュ アラン・デュカス 東京』では尾崎牛のフィレ肉を使う。緻密な肉質にストレスを与えないよう、できるだけゆっくり火を入れる。そしてオーブンで9時間煮詰めた牛の「ジュ」(ソース)をあしらう。フレンチでは味わいがやや過剰になりがちな和牛が、ノーブルな素材として、真価を引き出された瞬間だ。茹でただけのホワイトアスパラガスを添えて、その土の香りやえぐみとともにいただく。

私の料理は深みのある料理。誠実によい食材を選び、美味しいものを作り、
お客様に喜んでほしいと思っています。

季節に応じて旬を考える。しかしより大切なのは生産者との対話です。その肉はどこで育ち、何を食べて、どうやって運ばれたのかを知ることも大切なのです。――アラン・デュカス

初夏の味覚

 気持ちよく張り詰めた空気の中、料理に向かい合う師と弟子。その視線は皿の上の素材に注がれている。ひとつひとつの味を確かめるように今シーズンの料理を試食するアラン・デュカスは、すでに事前のやり取りでその内容を知っている。しかし彼が思い描いていた味は、裏切られることもある。「このハマグリはブルターニュのハマグリよりも美味しい」、そんな新鮮な驚きとともに。小島総料理長が日本各地の生産者と紡いできた信頼関係から、ここ東京でしか味わえない、“真”のフレンチが生まれている。

『ベージュ アラン・デュカス 東京』の料理を表現するなら、素材そのものを活かした正統派と言えるだろう。「卓越した食材を用い、酸味や苦みのアクセントを活かし、食材が明白に分かる料理」とアラン・デュカスは言う。今では料理人と生産者の距離が縮まり、その交流によって食材がますます美味しくなっている。さらに塩分、糖分、動物性脂肪を極限まで控えて、野菜や穀物を使うのも特徴だ。地球に優しい、人の身体にやさしい料理、アラン・デュカスの視点は未来の食を見据えている。

コンディマンの美学

*コンディマン=Condiment:薬味や調味料を意味するフランス語

グリーンアスパラガスとハマグリのポッシェ
サバイヨンソース

葛粉で閉じ込めたサフランの色と香りが、「桑名」の大ハマグリにフレンチ・リビエラの彩りを添える。グリーンアスパラガスとの距離を近づけるのは、ハマグリの下に隠されたコンディマンだ。ハマグリのヒモ、レモンのコンフィーや野生のルッコラ、エシャロット、アンチョビなどが凝縮されたさわやかな緑色のペースト。そのエッジの効いた酸味が、料理全体にくっきりと陰影を与える。

ダイナースクラブ会員様限定優待

アペリティフを1名様につき1杯ご提供、1日1テーブルを会員様のために確保など

*ご優待期間:2017年3月31日(金)ご利用分まで

詳細はこちら

ベージュ アラン・デュカス 東京

東京都 中央区銀座 3-5-3 シャネル銀座ビルディング10階

ランチ 11:30~16:00(14:00 L.O.)
ディナー 18:00~23:30(20:30 L.O.)
定休日:月・火曜、夏季・年末年始
  • ※ご予約は、ご利用日の3日前までに
    ダイナースクラブ リザベーションデスクへお電話ください。

0120-357-554
(月~金 10:00~17:00/土・日・祝日・年末年始休)

BENOIT

ブノワ

―時差のないパリを愉しむ―

手ごろで親しみやすいビストロ料理は、フランス人の良心です。『ブノワ』には私が大好きな“普段着”のパリがあります。
――アラン・デュカス

Dorado cuite au plat

“ブノワ”のエスプリ

 訪れたことのある人ならすぐに感じるだろう、ブノワの隅々に潜むパリの面影。それもそのはず。天井や壁紙、家具調度品に至るまで、内装すべての素材を開業時にパリから運んでいるのだ。

 1912年創業の老舗ビストロの名とエスプリを受け継いだ『ブノワ』は、ある意味、パリよりもパリらしい。ビストロ料理の身上である「気前のよさ」(générosité=ジェネロジテ)も料理によく表れている。「真鯛のオーブン焼き グリーンアスパラガス」の魚の厚みを見ればそれは一目瞭然だ。

Pâté en croûte

 生で、茹でて、ピューレで、旬のグリーンアスパラガスを3通りで味わうこの一皿はアラン・デュカスの代表的な料理。毎年4月から6月にブノワに登場し、日本人にもファンが多いという。焼き汁をたっぷりかけながら焼いた真鯛は、表面は香ばしく、中心はしっとり。素材のよさを存分に噛みしめることができる。前菜、メイン、デザートで、ほどよいと日本人が感じるポーション。伝統を尊重しながら、現代のニーズに合ったエレガントな料理は胃袋にも財布にも優しい。

引き算で素材を活かす教え

「季節ごとに味の確認をしていただく、この時間はとても緊張しますが、私たちにとってよい刺激、そして励みになっています」。アラン・デュカスを厨房に迎えたブノワの野口貴宏シェフは語る。一番大切なこと、それは華やかさより基本に忠実であること。美味しさの在り方、料理に対する姿勢をアラン・デュカスから学んだと言う。それは、素材とまっすぐ向き合い、足すよりも引くことで素材のよさを活かすテクニック、すなわちキュッソン(火入れ)とアセゾヌマン(味つけ)なのだ。

『ブノワ』で感じられる心地よさと懐かしさは、
いつの時代にもあり続ける文化であり、
また伝統でもあるのです。
――アラン・デュカス

Chez toi Benoit, on boit, on festoie en rois

重なり合う肉の旨み

パテ・アン・クルート“ブノワ”

ブノワのパテ・アン・クルートは少しずつ進化している。テリーヌと比べて手間と時間と技術を要するパテ・アン・クルートは、伝統のビストロ料理でありながら、フランスでも作られることが最近少なくなった。『ブノワ』では仔牛、豚、鶏、フォアグラのバランスをうまく調整して食べやすさを大切にしている。塩が控えめで軽い食感ながら、肉の旨みはたっぷり堪能できる。アラン・デュカスがブノワを通して伝えたいことが、この一皿に詰まっている。

ダイナースクラブ会員様限定優待

食前酒のサービスとご利用金額から10%ディスカウント、所定のメニューを2名様以上のご利用で
1名様分無料(エグゼクティブ ダイニング)など

*ご優待期間:2017年3月31日(金)ご利用分まで

詳細はこちら

ブノワ(BENOIT)

東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山10階

ランチ 11:30~16:30(14:30 L.O.)
ディナー 17:30~23:30(21:30 L.O.)
年中無休(年末年始を除く)
  • ※ご予約は、ご利用日の3日前までに
    ダイナースクラブ リザベーションデスクへお電話ください。

0120-357-554
(月~金 10:00~17:00/土・日・祝日・年末年始休)

ご予約は、ご利用日の3日前までにリザベーションデスクへお電話ください。

0120-357-554

(月~金 10:00~17:00/土・日・祝日・年末年始休)

  • *プレミアムカード会員様はプレミアム専用デスク(24時間・年中無休)で承ります。

2016.05.30

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