GOURMET - SAKE

新しい
日本酒のかたち

ダイナースクラブが協賛する、世界一美味しい日本酒を決める利き酒イベント「SAKE COMPETITION」にも見られたように、醸造技術の向上や輸送技術の発達などによって、微発泡のスパークリングや樽熟成などニュータイプの日本酒が次々と登場し、日本酒の間口は確実に広がっている。と同時に、その味わい方や提供する側にも変化は生まれつつあるのだ。新世代の日本酒ファシリテーターのひとり、ドミトリー・ブーラフさんに「新しい日本酒」のプレゼンテーションの美学と、その愉しみ方を伺った。

文・髙杉公秀 写真・永田忠彦 
Text by Kimihide TAKASUGI Photographs by Tadahiko NAGATA

木戸泉 Afruge No.1 タサキ 大吟醸 4oz 木村硝子店

西麻布の交差点から指呼の間にそれはある。「新世代の日本酒」を味わえるまったく新しいタイプの店だ。その名は『twelv.(トゥエルヴ)』。店をディレクションするのは「第4回世界唎酒師(ききさけし)コンクール」で第3位となったドミトリー・ブーラフさんだ。彼は1984年にモスクワで生まれ、幼少期を日本で過ごし、ロシアの大学を経て再来日した。料理専門学校でワインのクラスを取っている時に、ワイングラスに注がれた純米大吟醸の生酒を偶然口にする。そこで日本酒の素晴らしさに目覚め、一気にのめり込んだ。

 元々は倉庫として使われていたという低い天井に薄暗い照明。どんな居酒屋とも趣を異にし、ただのバーとも違う。アイランド型のカウンター10席と、4人がけのテーブル席が2つ。日本酒ブームを牽引する「銘酒」の瓶をこれ見よがしにプレゼンテーションする店ではない。わずかに日本酒を提供すると推測されるのは、お燗のための「燗銅壺(かんどうこ)」とおぼしきものがカウンターの隅に据え付けられていることくらいか。

大七 木桶仕込み生酛純米酒 樂天命 タサキ 古酒 5oz 木村硝子店

ブーラフさんは、ある時「黒龍 火いら寿」を偶然口にして、まるでアルザスの白ワインだと感じたのだという。それをきっかけに日本古来の並行複発酵という複雑な技術を用いて造られる「お米のワイン」に魅せられ、少しでも日本酒の素晴らしさを伝えたいという意思が固まった。

 「ワインはフランスが主体となって200年以上にわたって世界的なマーケティング活動をしています。そのままなぞる必要はありませんが、見習うべきものはたくさんあると思います。僕は日本酒が国内ではとても過小評価されていると感じています。海外では相当に日本酒の価値が高まっているにもかかわらずです。この店をつくったのもよくある日本酒バーの“和テイスト”から脱却したかったから。新しい価値観を創造するために、空間、グラス、音楽、そして酒。目に入るもの、口に入るもの、手に入るもののすべてがトップクラスのスペースをつくって、日本酒の価値向上に少しでも貢献したいのです」

澤屋まつもと 守破離 1561-2 SAIDO 2014 うすはりブルゴーニュ松徳硝子

青い目の日本酒伝道師、ブーラフさんは落ち着いた口調の中に秘めたる情熱を感じさせる男だ。料理を学んだ経験をもとに、ディナータイムには日本酒のペアリングコースを提供している。これは新しい日本酒に合う料理を提供しようという、意欲的な試み。居酒屋のアテとも、どんな魚にも同じ日本酒で通すことも多い寿司屋のスタイルとも違っている。

 「世界最強の食中酒」とブーラフさんが考える日本酒に対して、料理が対等に勝負を挑んでくるという印象だ。意識しているのは「いい意味でお客様の予想を裏切るようなペアリング」。店に伺った7月ならば、微発泡のスパークリングにキャビアを合わせるという提案。加えて、能登の契約農家から直接仕入れた生の有機野菜と合わせるというチャレンジもしている。昨今の日本酒に“酸味”を感じさせるものが多いことがこの選択につながっているのだ。彼はまだまだ知られざる日本酒の魅力を発信しようと、今日も静かにカウンターに立つ。

“ビオ”日本酒バー『twelv.』が提案する
日本酒のペアリングコース

『twelv.』が提案する日本酒のペアリングコース

twelv.のペアリングコース例。左から:能登半島のあんがとう農園のマイクロトマト、イエローアイコ、ホワイトミニに青ヶ島の自然塩を添えて。コチョウザメのキャビアとリコッタチーズ。コリンキーかぼちゃの塩麹和え。どのお酒もキャビアとの相性を中心に組み立てられている。キャビア=シャンパーニュという概念を忘れてしまうほどの相性のよさが感じられる。

『twelv.』が提案する日本酒のペアリングコース

twelv.(トゥエルヴ)オリジナル BIOスパークリング 2016

2016ヴィンテージ・瓶内二次発酵・自然派(千葉・木戸泉酒造)
『twelv.』の店主が惚れ込んだ酒蔵『木戸泉酒造』とコラボレーションし、今年初めてリリースされた限定777本のスパークリング日本酒。アルコール度数は12%だが、濃醇で、酸味が効いたキレ、ほどよい甘味は日本酒を飲んでいることを忘れてしまうほど。

惣誉(そうほまれ)生酛仕込
純米大吟醸

特A地区山田錦100% 精米歩合45% (栃木・惣誉酒造)
兵庫県吉川産特A地区山田錦だけを使用。昔ながらの酒母で時間と手間をかけて仕込まれた生酛造りのエレガントな酒。フルーティでありながら、凝縮された旨みが感じられる。酸味がある野菜との相性も抜群。食中酒として万能といえそうな存在。

新政 亜麻猫(あまねこ)
スパーク 生酒

あきた酒こまち100% 精米歩合:麹米40%、掛米65%
(秋田・新政酒造)
焼酎造りに使われる白麹で仕込まれた微発泡性日本酒。爽やかな香り、すっきりとした口当たりは、日本酒を飲みつけない人も思わず「おいしい」とつぶやくような出来栄え

Dmitry Bulakh(ドミトリー・ブーラフ)|唎酒師。1984年、ロシア・モスクワ生まれ。幼少期を日本で過ごし、ロシアの大学へ進学。2007年に再来日し、服部栄養学園に入学。2014年「第4回世界唎酒師コンクール」で3位入賞。『twelv.』ディレクターとして日々、日本酒の研究に余念がない。

twelv.

東京都港区西麻布4-2-4 B1階

営業時間 ペアリングコース(完全予約制)20:00~
バータイム 21:30~Late
定休日 日曜・不定休

03-6805-0764

www.twelv.in

twelv. Tasting Course

Tasting Course(ペアリングコース)は20:00からのみ、完全予約制。日本酒6種と合わせた3皿の料理を提供。
12,000円(サービス料込、税別)

http://www.twelv.in/img/menu/tasting_course.pdf

※内容はすべて掲載時のものです。その後、変更されている場合があります。あらかじめご了承ください。

ダイナースクラブ
スペシャルイベント

“SAKE COMPETITION 2017”
一位の酒を味わう会を奈良で開催

SAKE COMPETITION 2017各部門1位受賞酒

今年の「SAKE COMPETITION 2017」で、見事一位を獲得した貴重な酒を、蔵元の方のお話を直に伺いながら、お料理とのペアリングでご堪能いただける特別な試飲会を開催します。奈良公園の真ん中という、美しい自然に恵まれた場所で、古の都・平城京の神々からインスピレーションを享受し創造された、オリジナリティ溢れる奈良発のイタリア料理と最高の日本酒をお楽しみください。

“SAKE COMPETITION 2017”
一位の酒を味わう会 in 奈良

日時 2017年9月17日(日)
受付11:00~、終了予定14:00頃
会場 リストランテ オルケストラータ
奈良市春日野町101 奈良春日野国際フォーラム甍1階
募集人数 先着40名様
参加費 お一人様 12,000円 または
ダイナースクラブ リワードポイント24,000ポイント
 (フルコース料理・飲み物・税・サービス料込)

リストランテ オルケストラータ 内観

【当日ご提供のお酒】

※SAKE COMPETITION 2017各部門1位受賞酒

  • ・七賢 純米大吟醸 大中屋 斗瓶囲い
    (Super Premium部門、ダイナースクラブ若手奨励賞)
  • ・開運 純米大吟醸(純米大吟醸部門)
  • ・土佐しらぎく 純米吟醸 山田錦(純米吟醸部門)
  • ・来福 大吟醸 雫(吟醸部門)
  • ・作 穂乃智(純米酒部門)
  • ・南部美人 あわさけ スパークリング(発泡清酒部門)

お申し込み・お問い合わせは、
イベントデスクまで

0120-508-800
[月~金 10:00~18:00/土・日・祝休]

*詳細は『シグネチャー』本誌、2017年8&9月合併号 77ページをご覧ください。

[ダイナースクラブ リワードポイントでの参加について]

●お申し込みの際にお伺いしたクレジットカード番号からポイントを減算します。ポイント不足が判明した場合、参加費はカードからお引き落としします。
●ポイントのご利用は、本会員によるお申し出が必要です。
●お申し込み後のキャンセルはできません(ポイントはお戻しできません)。

[注意事項]

●定員に達し次第、お申し込みを締め切ります。●お一人様からご参加いただけます。●ご参加は20歳以上の方に限ります。●お席は相席となる場合があります。●料理は同一のメニューとなります。食物アレルギーがある場合はお申し込み時にお申し出ください。●ご案内状のお届けは、2017年8月中旬頃を予定しています。ご案内状のお届け後のキャンセルはご遠慮ください。所定のキャンセル料がかかります。詳細はご案内状でご確認ください。●天変地異、その他やむを得ない事由により、内容の変更や開催を中止する場合があります。●ダイナースクラブ ウェブサイトに、当日の様子を撮影した写真をイベントレポートとして掲載する場合があります。あらかじめご了承のうえお申し込みください。

*飲むかたち第7回「真鍮のまろやかな口あたり」もあわせてご覧ください。

2017.08.22

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