Event Report

THIS IS YOUR UNIVERSE.
「人生という旅」をサポートするダイナースクラブ
スペシャルトークショー 第1部

2020年2月17日開催

2019年10月から開始されたダイナースクラブの広告キャンペーン「THIS IS YOUR UNIVERSE.」。自分を信じ、自分らしく歩み続けるキャストの真摯な姿を描いたTVCMの放映を記念し、CMに出演している俳優・写真家の永瀬正敏氏を招いた一日限りのスペシャルトークショーが開催された。

第1部

対談相手の一人目は、1970年代から、広告写真を中心に精力的な活動を続けている操上和美さん。自身が監督・撮影を担当した映画『ゼラチンシルバーLOVE』(2008年)で、永瀬さんは主人公のカメラマンを演じた。クランクイン前に操上さんのライカを借り、アドバイスももらいながら写真家らしい動きを学んだそう。そんな関係の二人のトークショーは、共通の友人である、広告会社TUGBOATのアートディレクター・川口清勝さんのリードで、和やかに始まった。

永瀬正敏(ながせ まさとし)

俳優・写真家。1966年、宮崎県生まれ。83年、相米慎二監督の映画『ションベン・ライダー』でデビュー。『息子』(91年)で日本アカデミー賞ほか10映画賞の主演・助演男優賞を総なめにし、以降数々の映画賞を受賞。2018年、芸術選奨・文部科学大臣賞を受賞。
https://www.instagram.com/masatoshi_nagase_official/

操上和美(くりがみ かずみ)

写真家。1936年、北海道富良野生まれ。主な写真集に、『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『Diary 1970-2005』『PORTRAIT』『DEDICATED』など。2008年、映画『ゼラチンシルバーLOVE』を監督。
www.kurigami.net/

写真を撮るのは、おじいちゃんの「DNAのリベンジ」(永瀬正敏)

永瀬正敏さん(以下、永瀬)僕が大好きだったおじいちゃんは、戦前に鹿児島で写真館を営んでいました。戦後仕方なく閉めたそうですが、倉庫には祖父の撮った今でいうネガや、研究ノートが保存されていました。だから本来僕は「写真館の孫」。写真を撮っているのは、おじいちゃんの「DNAのリベンジ」をしているようなものです。

操上和美さん(以下、操上)永瀬さんに、僕のカメラを貸して写真家の動きを教えたら、すぐに身に付きましたからね。

永瀬操上さんが監督として撮影するならば、ぜひ出たいとお願いしました。

川口清勝さん(以下、川口)写真家として生きるってどういうことなんでしょう?

永瀬僕なんてまだ、とてもとても。ぜひ、操上さんに教えてほしいです。

操上絵コンテどおりに撮ってなんぼだけど、撮影の現場では考えている以上のものが生まれる。ひらめいた自分に自信が持てることが、写真家として生きる魅力。寝ても覚めても、夢の中でも写真のことしか考えない。毎朝起きると、空を見上げます。晴れでも曇りでも雨でも、今日も「美しい」と思う心の窓を開けるんです。他の職業と変わらないとは思うんですが、大事なのは、ものごとに反射してシャッターを切ること。感じた瞬間にシャッターを切れるように自分をコントロールしたい。仕事でなければシャッターを切れない人間にはなりたくないから。

永瀬関係性が切り取られた瞬間はいいですね。見るだけで時代がわかる写真というか。

操上写真家は職業だけど、生きざまなんです。「セッション(撮影)」というのは、ただ撮るだけじゃなくて、撮りながらその人の生きざまを見ることができる。

永瀬操上さんは80歳を超えたいまでも、鍛えていらっしゃって、脱いだらムキムキですごいんですよ。現場では獣のようにカメラを動かしていらっしゃいます。

川口足を骨折した3日後に松葉杖をつきながら撮影の現場に臨んでいたこともありますね。キャスター付きの椅子に座ってガンガン撮影していました(笑)。ところで、お二人の活動の原動力はどこにあるんでしょう。

まだまだという悔しさが次の現場につながる(操上和美)

永瀬まず写真については、こんなものを撮りたい、人に出会いたい、作品を撮りたい、こんな世界に入ってみたい。そういう強い気持ち、つまり「出会い」が原動力でしょうか。いつも違う環境を楽しむこと。役者は数式を解くようには答えが出せない職業で、いつまでも自分に合格点を与えられません。だからこそ次の映画に挑戦できるんです。そこは写真と共通しているかもしれません。

操上まだまだという「悔しさ」「欲望」です。何を撮っても、誰を撮っても満足することはほとんどないんですよ。撮ってる時は「最高」と思っているけど、夜に振り返って「あの一言が言えたらもっといい写真が撮れた」という後悔が必ず来る! 現場での反射神経が一番大事だから、撮影前はご飯を一切食べない。

永瀬僕も映画の撮影中はほぼ食べません。普段は自分を甘やかしていますけど(笑)。台湾で映画を撮った時には日本との違いを感じました。日本の現場は簡単なご飯でササッと済ませることが多いのですが、台湾の人は食事を大事にしていて、時間をかけて温かいもの食べます。「何で食べないんだ?」と、心配されましたね(笑)。

川口次なる挑戦は何でしょう?

永瀬共演した方全員の写真を撮りたいですね。役柄から離れたポートレートがいいかな。37年間、役者をやってきているので、今までなぜ撮ってこなかったんだと後悔しているので、これからはチャレンジしたい。デニス・ホッパーは、よく撮っていたそうなので。

操上今までの自分を壊して、スピード感のある写真を撮れるようになりたい。まとまりなんてなくていいから、養ってきた美意識、感覚をぶち壊して写真を撮れたらいいなと思っています。

川口永瀬さんのなんともいえない、ぶっきらぼうというか、ギラギラしていながら生臭くない存在感。操上さんのハンターとしての身体的感覚。満腹だと欲望が薄くなるからハングリーのままがいいというお二人は、よく似ています。

写真・永田忠彦 文・高杉公秀