ホーム > グルメ > 『SIGNATURE 今月の一皿』 No.84 鮨に込める心

ダイナースクラブ会員様にお送りしている会員誌「SIGNATURE」より、選りすぐりの一品をご紹介します

WEB限定 今月のもう一皿

神楽坂の表通り。いつのまにか人通りが多くなり、なんだか落ち着かなくなってしまった。
だから新しく、ちょっと素敵なお店は路地裏にどんどん引っ込む。

大きな繁華街にちょっと疲れた時、こんな街はちょうどいい。路地裏をどんどん進むと新しい発見がたくさんあるからだ。

開運・厄除けで知られる神楽坂・毘沙門天の路地裏の『鮨心』も、夜空を見ていて偶然見つけた。鮮魚をウリにする店の真上にオープンとは大胆だ。ビルの最上階まで上がり、いったん外に出るようなアプローチを通って入口をくぐると、そこには正統派鮨店の空間が広がる。白木のみごとなカウンターはよく磨かれてあり、そのためか空気がきりっとしている。この雰囲気でハズレたためしが僕にはない。店主の大場勉さんは銀座で長年修業した後、昨年12月にこのお店をオープンさせた。とにかく人懐っこい人柄は、すべての人が初訪問で常連となれる。それほど温かく居心地のいい店なのだ。とはいえ、妥協を許さない仕入れと料理は真面目かつ工夫がある。「相模湾のスキャンピー」はこだわりの一品。とれたての大きな赤座海老を強火で焼き上げると、殻から染み出す出汁がいい香りを漂わせる。真っ白な身にコクのある海老味噌を絡めると、やわらかく甘い身にほのかな塩気が加わり、さらに繊細な味となる。「すし屋で珍しいでしょ。でも美味しいものはどんどん皆さんに味わってもらわないと」と大場さん。そして鹿児島県・出水ブランドの鯵の刺身「木の葉造り」は絶品。出水の鯵は脂がほどよくのっているのが特徴で、旨みと甘みが凝縮している。

こだわりはもちろんお酒にも表れている。発泡性日本酒の「水芭蕉 ピュア」はまず初めに飲みたい。ふわりと広がる米の旨みとドライな口あたりはとてもエレガント、この後の展開がとても楽しみな一杯となるのは間違いない。当然握りも上等だが、極上のおつまみとお酒で満足し、握りまでたどり着けないのが唯一の難点である。

写真・岡村昌宏 文・下谷友康

鮨心Sushi Kokoro

「初心忘れるべからず」という店主のモットーを店名に反映した『鮨心』。カウンター席のみなので必ず予約を。料理はお任せで12,600円(税込)~。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵させた発泡性日本酒「水芭蕉 ピュア」は、ハーフボトル4,200円、フルボトル8, 295円(共に税込)。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

住所 東京都新宿区神楽坂3-6 -3 3F
電話 03-5579-8417
営業時間 17:30~22:30
定休日 日曜・祝日

WEB限定 今月のもう一皿
純米吟醸 No.6 新政

寿司といえばやっぱり日本酒だ。ワインブームにのって、シャンパーニュやワインをおく店が増えた。しかし、やはり「米には米の酒」がいちばんしっくりとくる……賛同してくださる方も多いに違いない。

『鮨心』の店主、大場さんもきっとその一人だ。なぜかといえば、とてもすてきな日本酒をさりげなく用意してくれているのだから。最初の乾杯には今月号でも紹介した「水芭蕉 ピュア」。繊細かつ米のまろやかさをほんのり感じさせつつ、とてもエレガントな味だ。

次に大場さんに薦められたのが、今月のもう一皿(厳密に言えばもう一杯だが)として紹介する、「純米吟醸 No.6 新政(あらまさ)」だ。これは、全国48酒販店しか扱わない、受注生産のみのとても珍しい日本酒。なぜナンバーシックスなのか、どうしてこんなに珍しいのか、のうんちくはぜひ『鮨心』のカウンターで、一度会っただけで旧知の友のような気分にさせてくれる大場さんから直々に。寿司と酒のハーモニーがますます広がるはずだ。
※この記事に掲載の金額は取材当時の消費税率込の料金です。

バックナンバー

※内容は全て掲載時のものです。その後、変更されていることもございますので、あらかじめご了承ください。

最新号はこちら


PAGETOP
GLOBAL
三井住友トラストクラブ