SIGNATURE2016年01_02月号
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京藝術大学出身の若手音楽家に上質な演奏の機会を提供し、その才能をサポートすることを目的にした「ダイナースクラブアーティストサポートプログラム」。その成果をお披露目するスペシャルコンサートも今年で2回目となる。今年のプログラムはいっぷう変わった趣で始められた。ピアノ、サックス、パーカッションに津軽三味線という異色のアンサンブルの演奏者は全員1990年代生まれという若きヴィルトゥオーゾたち。クラシック音楽の素養たっぷりとはいえ、その即興性や掛け合いはジャズのそれであり、純粋なクラシックを想像してきた多くの来場者は、いささか面食らっただろう。しかしプログラムが進行し、第1部の最後を飾るV・モンティ作曲の「チャールダーシュ」に見られる即興の〝四重奏〟では、どこか郷愁を感じさせるフレーズに目を細め、ソロパートの超絶技巧に息を呑み、軽妙洒脱な掛け合いに思わず笑みがこぼれるといった、音楽を純粋に楽しむ、なごやかな雰囲気に包まれた。第2部は、一転してソプラノとテノールの声楽のパート。ヴェルディのオペラ《椿姫》の「乾杯の歌」のデュオに始まり、哀切を帯びた日本の歌曲と技巧的なピアノ独奏をはさんで、プッチーニ《トスカ》の「歌に生き、恋に生き」(ソプラノ)、《トゥーランドット》より「誰も寝てはならぬ」(テノール)で締められた。アヴァンギャルドな現代音楽アンサンブル、一転して声楽の〝王道〟、鮮やかな色彩のちがいを見せるふたつの世界をつないでいたのは、ベーゼンドルファーのフラッグシップモデル「インペリアル」の柔らかく艶のあるピアノの音色であった。Diners Club 2015年10月22日開催【ダイナースクラブ アーティストサポートファンド】写真・阿部昌也左上から時計回りに:山中惇史(ピアノ)と石若駿(パーカッション)。/鵜木絵里(ソプラノ)と布施雅也(テノール)。ピアノは前田拓郎。/上野耕平(サックス)、黒岩航紀(ピアノ)、石若駿、山下靖喬(津軽三味線)の超絶アンサンブル。/出演者の集合写真。左端はプログラムディレクターの佐野靖 東京藝術大学教授。東京藝術大学の若手アーティストに上質な演奏の機会を提供するために、2012年にスタートした「アーティスト サポート プログラム」も今年で3周年。また、ふだん生の音楽に触れる機会のない人たちへ音楽を届ける「音楽アウトリーチ」活動をサポートするためのファンドも2年目を迎えました。会員の皆様のリワードポイントで、若手演奏家をどうぞご支援ください。詳細は、www.diners.co.jp ▶ 優待&サービス ▶エンタテイメント ▶ Diners Clun Artist Support Fund 東ダイナースクラブ アーティストサポート プログラム@サントリーホール ブルーローズ(小ホール)Event ReportArtist Support Program3周年スペシャルコンサート
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