SIGNATURE2016年01_02月号
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かもボルドーの一級格付けシャトーとしばしば同列で語られる、オーストラリアの最高級ワイン「グランジ」。1844年創業のペンフォールズが、厳選のうえに厳選したシラーズから生み出す、〝究極〟の赤ワインである。 「オーストラリアらしい凝縮感でパンチが利いているけれど、酸味もきれいだし、タンニンのキメも細かくてエレガント。野暮ったさはまったく感じられず、とても洗練されてますね」2015年10月、上海でお披露目されたばかりの最新ヴィンテージ、2011年のグランジを味わい、感心しきりの岡昌治さん。リーガロイヤルホテル(大阪)のマスターソムリエにして、日本全国のソムリエを束ねる一般社団法人日本ソムリエ協会の会長である。 「醸しの最中、早めに果皮と種子を醪から引き離すことで、タンニンをソフトにすることができます。ただそのためには収量を低く抑えて、果皮が厚く、小粒の実のブドウを収穫しなければなりません」そう答えたのは、2002年からペ        グランジの誕生は1951年。そのンフォールズのチーフ・ワインメーカーを務めるピーター・ゲイゴさんだ。頃のオーストラリアはポートタイプの酒精強化ワインが主流で、辛口のテーもろみブルワインには誰ひとりとして見向きもしなかった。ところが、当時のチーフ・ワインメーカー、マックス・シューバートは料理とともに楽しむテーブルワインの時代がやがて訪れることを確信。会社には内緒でこっそり造ったワインがグランジなのである。 「その頃からスタイルは変わらないとおっしゃるけど、チーフ・ワインメーカーがゲイゴさんになって、やっぱり少しだけ変わりましたよね」と岡さんが尋ねると、「変えたのではありません。少しずつ改良してきたのです」と答えるゲイゴさん。もちろん、ペンフォールズが造るのはグランジのみにあらず、膨大なアイテムをそのポートフォリオに収めている。グランジを手にする前に、クヌンガ・ヒル76 ・シラーズ・カベルネやビン389・カベルネ・シラーズなどのワインで舌を慣らしておきたい。しばらくグランジの味わいに陶酔していた岡さんは、「若いグランジを開けるなら、デカンターに移すことは必須ですな」と語る。「香りがもっと広がります。グラスも大きめのものを用意しましょう。オーストラリアはやっぱり牛肉。最上級の牛肉をあまり手をかけず、塩とコショウだけでいただきたいですね」と、思わず笑みがこぼれる。グランジの目標はただひとつ、毎年ベストのワインを造ること。それにはベストなブレンドをすることが不可欠で、ヨーロッパのように「この土地のブドウのみ使い、植えてよいのはこの品種のみ」と規則でがんじがらめでは、到底成し遂げることができない。 「手枷足枷をはめられたような古いやり方は、私たちの流儀ではありません。柔軟性こそ私たちにとって最大の強みなのです」と語るゲイゴさんの表情は、自信に満ちあふれていた。目標はただひとつ、ベストなワイン造りアクセスはこちらから!デジタル版シグネチャーへのアクセスはこちらから!ペンフォールズ「グランジ」の特別なボトルが手に入る!デジタル版 シグネチャー検索 デジタル版シグネチャーでは ピーター・ゲイゴ氏のサイン入り、〈GRANGE〉2010年ヴィンテージを 数量限定で販売!(2015年12月14日より)ピーター ゲイゴ|1957年、イギリス・ニューカッスル生まれ。6歳の時にオーストラリアに移住。大学で醸造学を修め、89年、ペンフォールズに入社。2002年からチーフ・ワインメーカーを務める。14年、米ワイン専門誌『ワイン・エンスージアスト』の「ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」に2度目の選出。89岡 昌治(おか まさはる)|1953年、大阪府生まれ。2003年よりリーガロイヤルホテル(大阪)マスターソムリエを務める日本を代表するソムリエ。フランス農事功労章シュヴァリエ、「なにわの名工」、「現代の名工」、黄綬褒章など受章歴多数。2010年から一般社団法人日本ソムリエ協会会長(写真右)。http://www.diners.co.jp/ja/sig/313/※QRコードまたは上記URLからのアクセスで30日間ログイン不要でご覧いただけます。

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