SIGNATURE2016年03月号
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2015年12月、「ダイナースクラブ」の日本における発行会社が、三井住友信託銀行グループの「三井住友トラストクラブ」に変わった。同年3月31日に発表された、三井住友信託銀行によるシティカードジャパンの全株式取得が計画通りに完了し、新たに誕生したのが同社。同時に、日本最初のクレジットカードとして50年以上の伝統を有するダイナースクラブカードの日本における唯一の発行会社となったわけだ。ダイナースクラブ会員にとって何より気になるのは、「今回の発行会社の変更により何が変わるのか」であるに違いない。これについて、新会社の社長に就任した野原幸二社長は「今後、三井住友信託銀行グループのネットワークと信託サービスを提供することにより、ダイナースクラブ会員の皆様には、さらなるサービスの向上に努めていきたい」と意欲を見せている。 「三井住友信託銀行は、自主独立で信託業務を専門に営んでいる日本で唯一・最大の信託銀行。個人顧客は、富裕層、資産家層が多く、一人当たりの取引金額が大きいのが特徴です。一方、ダイナースクラブは、五大国際カードブランドの中でもステータスが高い方々が利用されています。つまり、会員の皆様が持つニーズと、三井住友信託銀行の個人顧客が持つニーズは重なる部分がたくさんあるはずです。カードを使った決済機能やそれに付随するサービスの提供だけでなく、資産運用コンサルティングや遺言・相続・不動産といった信託銀行ならではの商品・サービスのご利用の機会を提供することが、会員の皆様にとってのメリットにつながると考えています」都市銀行や地方銀行などの普通銀行と比べれば、信託銀行はなじみが薄いと感じている人もいるかもしれない。ところが、じつは生活に身近なところで心強いパートナーとなってくれる存在でもある。資産運用・管理、遺言信託、不動産の仲介、さらにはローンなど、そのサービスは広範に及ぶのだ。 「資産を子や孫へ引き継ぐ〝承継〟や〝相続〟を、教育資金贈与信託や結婚・子育て支援信託、遺言信託などの商品でお手伝いをするのも信託銀行の役割。お客様一人一人の資産に対する〝想い〟をていねいにお聞きし、オーダーメイドの解決策を提案するなど、『プライベートバンキング』のサービスも充実しています」実際に、ダイナースクラブ会員向けのサービスもスタートしている。それが「ファイナンシャル・コンシェルジュ・サービス」だ。 「これは三井住友信託銀行のアドバイザリースタッフが、たとえば自社株式の生前贈与に関する相談や、収益不動産の保有形態に関する相談など、資産に関するさまざまな相談やニーズにお答えするものです。豊富な知識と経験があればこそ提供できるサービスであり、社内外のスペシャリストが連携することによってお客様の資産を守るための総合力を発揮できます」対応店舗は東京と大阪に限られるが、「ダイナースクラブリザベーションデスク」に予約することによって、写真・永田忠彦 文・小澤啓司新しい物語をあなたとともにダイナースクラブカードの日本で唯一の発行会社として新たに誕生した「三井住友トラストクラブ」。その新たな歩みには大きな期待が寄せられている。野原幸二代表取締役社長が、ダイナースクラブの〝未来像〟を語る。第1回ダイナースクラブの未来像28        Photograph by Tadahiko Nagata Text by Keiji Ozawa

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