SIGNATURE2016年03月号
53/74
Photographs by Tomoyuki Hara(FORESEER photo)57大和屋氏が社台サラブレッドクラブで出会ったハーツクライ(左)。世界一へと駆け上ったジャスタウェイ(右)。愛馬のデビューから引退までていねいなケアを提供する社台サラブレッドクラブでの出資金などの支払いには、ダイナースクラブカードでの決済が可能。大和屋 暁 AKATSUKI YAMATOYAやまとや あかつき/脚本家、作家、作詞家、馬主。主にアニメーションや特撮などの作品に参加。著書に愛馬とともに歩んだ馬主体験記『ジャスタウェイな本』(競馬ベスト新書)、ジャスタウェイが稼いだ賞金を元に多額のふるさと納税を行った『ふるさと納税完全制覇読本』(光文社知恵の森文庫)がある。鈴木淑子 YOSHIKO SUZUKIすずき よしこ/大手企業のOLを経て、ラジオやテレビのキャスター、パーソナリティとして活躍。競馬との関わりは1983年にフジテレビの競馬中継の司会をすることからスタート。競馬に関しては全くの素人だったが、名馬、名騎手、名レース、名ドラマとの出会いの中で競馬に魅了され競馬パーソナリティの道へ。多彩な帽子姿もトレードマーク。レースの向こう側のストーリー競馬を深く知るための、オグリのように感動を与える競走馬を持つことを夢見る。そしてわずか十数年後、夢は叶う。脚本家でダイナースクラブ会員でもある大和屋暁さん所有のジャスタウェイが世界ナンバーワンホースとなったのだ。そんなドリームストーリーが生まれた背景に、女性競馬パーソナリティの鈴木淑子さんがアプローチ。鈴木淑子さん(以下敬称略):大和屋さんはお若い頃から馬主になりたいという夢をお持ちだったそうですね。大和屋暁さん(以下敬称略):オグリキャップがきっかけです。引退レースとなった有馬記念は中山競馬場に徹夜で並び、開門ダッシュもしました。もちろんレース後は大号泣です(笑)。鈴木:きっと多くの人が同じような夢を持ったと思いますが、大和屋さんはそれを実行し、偉業も成し遂げられました!大和屋:ありがとうございます。でも20代はまだ競馬好きというレベルで、30代になってから知人の紹介をきっかけに、1頭の競走馬に複数の人で共同出資するクラブに参加しました。責任も金額も一人で背負う個人馬主と比べるとハードルが低く、そんな中、社台サラブレッドクラブで2年目に出会った馬がハーツクライです(2005年有馬記念で優勝し、日本調教馬でディープインパクトに唯一先着)。鈴木:わずかなキャリアで世界で活躍する名馬とめぐり会うなんて凄い眼力!なぜハーツクライを選ばれたのですか。大和屋:そうですね。当時は仕事がばたばたしていてそれほど吟味もせずに選んだ馬でした。脚が少し外向だったことで、結果的に僕でも買うことができたので、それはとてもラッキーでした。鈴木:クラブの馬に出資することで競馬の楽しみ方は変わりましたか?大和屋:デビュー前から見守ってきた伝説のスターホース、オグリキャップ。その走りに魅せられた一人の青年は、「自分の愛馬」が走るのですから格別です。それと馬を応援しに全国を旅することも楽しみの一つ。レースに勝ったら祝勝会、負けたら残念会と、どちらにしても地方の美味しい食事とお酒で宴というのもお決まりなもので。鈴木:大和屋さんは国内だけでなく、海外まで楽しめましたものね。ハーツクライは有馬記念(G1)制覇の後、ドバイシーマクラシック(G1)で優勝。その時、大和屋さんは口取り式(ウィナーズサークルでの記念撮影)にも参加。そしてイギリスのアスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)では激闘の末の惜しい3着。でも、英国王室が所有する聖地で活躍できたことは、日本競馬界にとって大きな誇り写真・岡村昌宏 文・根本 淳です。大和屋:ドバイもイギリスも行きましたが、本当に素晴らしい体験でした。キングジョージでは直線半ばで先頭に立った時、勝った! と思ったのですがね。鈴木:ハーツクライはその次戦のジャパンカップ後に引退となりましが……。大和屋:はい、突然の引退だったのでショックでした。でも、それをきっかけに次は「ハーツの仔を自分で」という思いが募り、なんとか個人馬主にもなりました。そして2頭目に持ったのがジャスタウェイです(1頭目はデビュー叶わず、大和屋氏にとって実質初の競走馬)。鈴木:そのジャスタウェイが、2014年にはロンジンワールドベストレースホースランキングで日本の馬として初めて、そして唯一、世界ナンバー1に!大和屋:はい、こんな私でも……。そして今も共同出資による制度は、個人ではおよばない世界を楽しむことができるので参加しています。興味のある方はぜひ一度、トライしてみてほしいですね。Photographs by Masahiro Okamura(Crossover) Text by Jun Nemotovol.03「好きこそ」を貫き引き当てた、空前絶後の正夢!
元のページ
../index.html#53