SIGNATURE2016年05月号
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コット流トリュフの楽しみ方 『レストラン・コット』はフレンチでもなければイタリアンでもない。一言では、なかなか表現しにくいが、伝統的フランス料理がベースの料理もあればイタリアンテイストもある。時に和食をイメージした一皿が出ることも。地域や産地にこだわらず、旬の素材を使用し、「美味しさと驚き」――そんな言葉がぴたりとはまる、オリジナリティあふれる料理が提供される店だ。東京・西麻布の交差点から広尾方面にしばらく歩くと、地下へと続く螺旋階段が現れる。店内は、大人の雰囲気が漂うちょっと暗めの照明。その昔、六本木に『マックロウ』という伝説の名店が存在したが、『レストラン・コット』のオーナーシェフ・紫原龍一さんのルーツがそこにあったと最初に聞いた時は、期待感が大いに高まったものだ。メニューにはとにかく想像力をか   とトリュフで玉ねぎのソテーを挟んき立てられる楽しい文字が並ぶ。「仏産タンポポのサラダ」「青森産シジミのポタージュスープ」など、もうこれだけで楽しくて仕方がない。そんな中でも「今月の一皿」を飾るのは、やはり定番メニューの「トリュフのブリック焼き」だ。クリスピー生地でいるだけだが、まさにオリジナリティの極み。ふわっとした食感とトリュフの香りのバランスが絶妙だ。この時季だけイタリアから日本に届く「ビアンケット」という春トリュフの濃厚な香りに圧倒される。 「北海道産鹿ロース肉のロースト」は、最近特に人気の高いメニューとのこと。とても軟らかくてジューシーで、鹿の臭みもまったくなく、セップ茸のソースや付け合わせのホワイトアスパラがいっそう引き立っている。これを食べれば、紫原さんが一皿一皿、かなりの工夫を凝らしているのがよくわかる。スが多い僕も、ここではアラカルトを楽しむことにしている。ワインのセレクトも紫原さん独自のチョイスで年代物が数多く揃う。とてもソフトな物腰で笑顔が素敵なシェフは、まるで自分のお抱えのような錯覚に陥るが、「それが狙いです」と笑って話してくれた。常連になりたい店だ。そんな訳で、いつもはお任せコー14NumberPhotographs by Masahiro Okamura(Crossover) Text by Tomoyasu ShitayaRyuichi Shihara住所:東京都港区西麻布3-17-22 B1F電話:03-5775-7457営業時間:18:00〜26:00定休日:日曜・祝日レストラン・コット『レストラン・コット』に行ったらぜひ試してみたいのは、紹介した定番メニューの「トリュフのブリック焼き」(3,000円)や、最近特に女性に人気の「北海道産鹿ロース肉のロースト セップ茸のソース」(4,200円)。これからの季節は旬の竹の子を使った「トコブシと竹の子のロースト ガーリックソース」(2,200円)もお薦めだ。*価格はすべて税抜です。オーナーシェフ109今月の一皿紫原龍一

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