SIGNATURE2016年05月号
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しゅう本三禅宗のうち、臨済宗・黄檗宗の源流に位置する中国・唐の高僧、臨済義玄禅師の1150年遠諱(50年ごとに行われる大法要)と、臨済宗中興の祖、白隠禅師の250年遠諱を記念する展覧会が、春の京都と秋の東京で開催される。約1500年前、達磨大師によってインドから中国へ伝えられたといわれる禅は、鎌倉時代にわが国に伝えられ、中世には武家をはじめ、天皇家や公家の帰依を受け、日本の社会と文化に多大な影響を及ぼした。江戸時代に入り禅僧らによって広く民衆へ普及し、明治期の鈴木大拙によって広く海外にまで広められたことはよく知られている。特定の経典を持たない禅宗では、その教えは言葉や文字によらず、師と弟子との直接的な関わりのなかで、自らの心のなかの仏性を見出し、直感的な悟りの境地へ至る。ゆえに理想化された仏像よりも、実在した生身の祖師たちの人間味あふれる姿や心のありようを「かたち」として遺し伝えてきた。 「禅―心をかたちに―」展は、臨済・黄檗両宗十五派の全面的な協力のもと、歴代高僧の肖像や墨蹟、仏像、絵画、工芸など多彩な名宝の数々を一堂に会し、禅宗の教えが日本文化に与えてきた役割を紹介し、禅の真髄に触れる貴重な機会である。禅の教えが、なぜ今も多くの人たちを引きつけるのか。まずは虚心坦懐に作品に向き合い、見て、感じてほしい。おうばくおんき禅ギャラリー禅の真髄に触れる貴重な機会40Special FeatuteThe art of ZenSearch Inside Yourselfだるまぞう   日2《達磨像》白隠慧鶴筆 江戸時代(18世紀)|大分・萬壽寺蔵 *京都展前期(4月12日〜5月1日)展示禅宗の開祖とされる達磨が禅の悟りに至る道を説いた「直指人心 見性成仏」の文字が添えられた、大迫力の巨大な達磨像。白隠禅師最晩年の名作。

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