SIGNATURE2016年05月号
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イよりも職人技を優先し、あらゆる工程で頑ななまでに高品質を守りぬき、それを誇りとする。そんなイタリアの伝統的ファクトリー精神を90年以上守り続けたブランドがある。それがセラピアンだ。創業は1923年、創業者ステファノ・セラピアンがイタリアンレザーの素晴らしさに喚起されてブランドをスタート。45年にミラノに工房を移転。それ以降、上流階級の女性たちや銀幕のスターなど、国内外のジェットセッターから高く評価され、ついに英国王室御用達バッグとしても採用されることに。現代ではテイラー・スイフトなどのセレブリティたちにも愛されている。またセラピアンのファクトリーではハイブランドの高度な要求のOEM(受託製造)依頼も多く、私たちが目にする高級ブランドバッグもここで作られた可能性があるのだ。本誌初登場の今回は、女性のための名品バッグとビジネスマンの旅の必需品をご紹介する。ミニボストンは、「アニバッグ」と命名。ファスナーサイドの円形曲線は「オレッキア(耳)」と呼ばれるブランド独自のアイコン的ディテールで、高度な職人技によってのみ作られる。「メイリーンバッグ」は60年代に顧客のリクエストによって誕生。鍵付きで内部を2つに仕切り、中央の仕切りは底まで続く大きなファスナーポケットになっている。タリアの物作りは奥深い。見えない内部にまで気を配り、どんな些細な妥協も許さない。大量生産チネチッタ隆盛の時代、銀幕のスターたちは、セラピアンでバッグをオーダーしてハリウッドへと帰って行ったという。その一級の作りは、今もなお、世界のセレブリティたちを魅了している。英国王室や銀幕のスター、そして現代のセレブリティへ。信頼が連鎖するイタリアンメイド写真・大志摩 徹 文・松尾千鶴子72年、創業者の息子の婚約を機に婚約者の名前をとって52Photographs by Toru OshimaText by Chizuko MatsuoSERAPIAN
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