SIGNATURE2016年05月号
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(Myopia Hunt Cub)』は140年の歴史を誇る名門カントリークラブだ。かつて全米オープンが開催されたゴルフコースを持ち、ハンティングやポロ、乗馬など、その活動内容は多岐にわたる(デジタル版シグネチャーで2回にわたり同クラブを紹介しています)。現在、アメリカには1万6000を超えるゴルフコースがあると言われるが、その中心にあるのがこうした複合型アクティビティを提供する「カントリークラブ」だ。所属するメンバーは豊かなクラブライフを享受し、スポーツやイベントを通じて社交を楽しんでいる。一方で会員には高い素養と志が求められ、地域社会への貢献やクラブの伝統の継承など、大きな責務を担っている。ラブの運営に関して次のように語ってくれた。「我々のクラブでは会員数を370名と限定しています。カントリークラブとしては小規模ですが、ゴルフやハンティング、馬術など、それぞれの活動で最良のサービスを提供できるよう最善を尽くしています」。施設のメンテナンスや新たなアクティビティの開発、会員同士が交流できる各種イベントの企画など、快適なクラブライフの実現に向けて様々な模索を続けている。クラブ会員の選考も実に厳格な基準を持つ。「140年の伝統と遺産を継承するのは、所属する会員一人一人にほかなりません。価値観を共有できる、高い志のメンバーが求められています」。新たな会員は現メンバー2名の推薦人と、さらに5名からの推薦状が必要だ。その後、理事会の承認を得て全メンバーへ告知され、さらに最終的な決議の後にようやく参加が認められるという。一方、名門クラブであっても時代の趨勢には逆らえず、時には改革を迫られてきたという。「かつては圧倒的に男性優位のクラブで、女性や子供はクラブハウMyopia Hunt Cubの代表、クリス・ウェル氏が同クボストン郊外の『マイオピア・ハントクラブ62Special Thanks to Masa Nishijima & Fergal O’LearyPhotographs & Text by Katsuyoshi Tanaka狩猟クラブからはじまった同クラブでは、豊かな自然の中で今でもハンティングがおこなわれている。1.築240年以上の歴史を持つクラブハウス。かつての大荘園の母屋を改築したもの。2.クラブハウス内のリビングルーム。3.歴代のクラブ代表を写した写真。その多くがハーバード大学の卒業生で、“ファイナルクラブ”と呼ばれる超エリート学生が集まるソーシャルクラブに属していたメンバーだ。Myopiaがいかに上層階級の人々で組織されてきたかがうかがい知れる。4.敷地内には瀟洒な馬屋が並び、乗馬のレッスンなどもおこなわれている。5.創設当時のコースはほとんど手を加えられていないままで保持されている。21   ll アメリカのカントリークラブの現在Myopia Hunt Club―調和する伝統と革新真のクラブライフを育む

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