SIGNATURE2016年06月号
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伊達なフライドポテト 外国に行くとホテルでディナーをすることが多いが、日本にいるとあまりホテルを利用していないことに気づく。レストランといえば、〝一軒家〟とか〝隠れ家〟とか〝オーナーシェフ〟なんていう言葉が魅力的に感じられるからかもしれない。しかし、昨年10月からスタートした『シャングリ・ラホテル東京』の『タパス by ピャチェーレ』は、そんな言葉に対抗して「雰囲気よし、オリジナリティあり、アーティスティック」などという魅力的な言葉と新しいコンセプトで、人を引き寄せることのできるレストランだと思う。豪華なグランドダイニングの一角で、こちらはカジュアルムードでわいわいがやがやと楽しめる。料理長のフェレーロさんが独自に表現するタパススタイルの料理は、どれも魅力的だ。とりわけ気に入ったのは「自家製フライドポテトアイオリとペコリーノチーズ添え」。北海道産じゃがいものフライとチップスを、ニンニクとマヨネーズのアイオリソースで絡めるいたってシンプルな料理だが、とにかく美味しくて手が止まらない。おなじみのフライドポテトのはずなのにちょっとだけひねりが加えてあり、それがオリジナリティとなり、また、見た目もかっこよくて心が弾んでしまう。 「イタリアンポルペッテ」はシチリア風ミートボール。胡椒とニンニクがトマトソースとからまって食欲をそそる。「アスパラガスとパルメザンチーズのリゾット」「鮪のタルタルアボカドとウォッカのグラニテ」など、おつまみメニューが満載。仲間と楽しい時間を過ごすのにもってこいだ。ボトルでオーダーする時は自らセラーに入り、チョイスすることができる。天井の高い立派なセラーでラベルを見たり、ソムリエとあれこれ相談したりすると、いつもより心豊かな気分になってしまい、ちょっといいワインを選んでしまう。タパスといっても、ホテルがプロデュースするかなりイケてるイタリアンなので、ちょっといいワインとともに早い時間からまったりしたくなってしまうのである。となるとワインが欲しくなるが、タパス by ピャチェーレ一皿一皿が一流ホテルのダイニングでいただく料理なのに比較的リーズナブルなのもうれしい。左ページ:「自家製フライドポテト アイオリとペコリーノチーズ添え」(900円)、右上:「アスパラガスとパルメザンチーズのリゾット」(1,700円)、右:「イタリアンポルペッテ」(900円)。ワインはボトルで4.000円〜、グラスは900円〜。*価格はすべて税抜です。住所:東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館28F『ピャチェーレ』内電話:03-6739-7898営業時間:17時30分〜21時30分(月〜日曜)定休日:無休エグゼクティブ・シェフ14NumberPhotographs by Kentaro Takioka Text by Tomoyasu ShitayaAndrea Ferrero今月の一皿アンドレア・フェレーロ110
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