SIGNATURE2016年06月号
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はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。会場デザインは吉岡徳仁、佐藤卓が担当。また開館日の11時〜12時(金曜日は11時〜12時、18時〜19時の2回)にはスタッフがプリーツマシーンを動かし、制作実演を行う。またインスタレーション、映像ドキュメンタリー、ライブラリーコーナーも設けられ、三宅の創作世界を立体的に体感できる構成に。会期:2016年6月19日(日)まで開館時間:10:00〜17:00※金曜は19:00まで ※入場はいずれも閉館の30分前まで休館日:月曜会場:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)公式サイト http://morimura2016.comお問い合わせ 06-6447-4680会期:2016年6月13日(月)まで開館時間:10:00〜18:00、金曜は20:00まで(※入場は閉館の30分前まで)休館日:火曜日(ただし、5月3日[火・祝]は開館)会場:国立新美術館 企画展示室2E 公式サイト http://2016.miyakeissey.orgお問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)(東京都港区六本木7-22-2 )ISSEY MIYAKE《バス(馬尾毛) Autumn/Winter 1990》1990年 撮影:岩崎 寛ISSEY MIYAKE《葉っぱプリーツSpring/Summer1990》1989年 撮影:岩崎 寛新作には長編映像作品のほか、レオナルド・ダ・ヴィンチ、デューラー、カラヴァッジョ、マグリット、ダリ、そして30 年ぶりにゴッホの自画像に扮した作品に加え、松本竣介、青木繁、萬鉄五郎、村山槐多といった近代日本の画家に扮した作品も登場。東西の美術史を往還しながら自画像の意味を浮かび上がらせる。2016年 作家蔵日本美術の冒険 第24回文・橋本麻里《自画像の美術史(マグリット/三重人格)》《傷ましき腕を持つ自画像(ブルー)》2011-2016年 作家蔵 森村泰昌が「最後のセルフポートレーター(自画像作家)」を名乗るのは、西洋美術の歴史において、自画像がひとつの大きな課題として屹立する領域だからだ。ルネサンス以前、それぞれの人間のアイデンティティは、神の意思に委ねられたものと考えられていた。しかし16世紀に入ると、そのアイデンティティは人間自身によってつくり上げることができる、という考え方が生まれてくる。その思潮の中で描かれるのが、デューラーの自画像だ。さらに近代になると、自画像には「自己の探求」というテーマが付加されていく。 森村の作り出す「セルフポートレート」はしかし、ゴッホやフリーダ・カーロ、マリリン・モンローなどよく知られた別人のそれであって、森村「自身」ではない。西洋近代的な「自我」の確立という宿命からどこまでも逃れ、変貌し続ける自由がそこにはある。こうした過去の作品に加え、新作や映像作品も展示、ダ・ヴィンチ以降の西洋美術史における自画像を通して、非西洋からの「返答」を作品化した。 やはり非西洋の立場について、限りなく明晰な自覚をもとに、表現の洗練を重ねてきたのが、衣服デザイナーの三宅一生だ。三宅は平面である布と立体である身体のずれに関心を持ち、一枚の布という平面的な構造を、新しい素材や技術を通じて自由に操り、現代の服へと昇華させ、世界的な評価を得た。今展では、1970年から現在に至る約45年間の活動を一望、初期から最新プロジェクトまでの全仕事を通して、ものづくりに対する三宅の考え方やデザインアプローチを明らかにし、彼が拓いた未来への可能性を検証する。ISSEY MIYAKE《タトゥ Spring/Summer 1971》1970年 撮影:岩崎 寛Exhibition InformationExhibition Information18ColumnSignatureText by Mari Hashimoto森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うときMIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事2Art自画像の私≒絵を観るわたし、見るファッション<着るデザイン
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