SIGNATURE2016年06月号
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Porcelain Today」でお披露目された「201616 / arita japan」を賀県西部、長崎との県境にある山あいの町、有田で日本で初めて磁器の製造が始まってから、今年でちょうど400年。これを記念して、現地ではさまざまなプロジェクトが企画されている。その中で、世界からひときわ熱い視線が注がれているのが、先日のミラノサローネ、そしてアムステルダム国立美術館のアジア館で現在開催中の「Arita16/」だ。これは有田町と伊万里市内の10の窯元と、国内外の16組のデザイナーがじっくりと時間をかけてお互いを理解し合いながら完成させた、日常のシーンで使えるスタンダードな磁器のコレクションから成るブランド。佐賀県からの声掛けでこのプロジェクトのクリエイティブディレクターを務めているのは、2012年に有田の『百田陶園』から新たな陶磁器ブランド「発表した柳原照弘と、彼と並び同コレクションのデザインを手がけたオランダ人のデザイナーデュオ、ショルテン&バーイングスだ。東インド会社を通じて多数輸出され、欧州の人々を魅了した有田焼だが、現在の生産数は高級品が飛ぶように売れたバブル期の6分の1。このままでは産地の足腰は弱り、技術は途絶えてしまう。今回のプロジェクトにあたり、柳原たちはそんな有田の現状を踏まえ、世界基準のデザインを提供するだけでなく、産地に長らくはびこってきた問題にもひとつずつ取り組んでいったという。色褪せることのない〝有田〟の試み   佐ⒸAnneke HymmenⒸKenta HasegawaⒸ Anneke HymmenⒸ Kenta HasegawaⒸ Kenta Hasegawa右:有田焼の黄金時代の復活を、と意気込むクリエイティブディレクターの柳原照弘。有田との付き合いは「1616 / arita japan」に関わった2012年から、はや4年になる。左:同じくクリエイティブディレクターとしてオランダと日本との橋渡し的役割を務めるショルテン&バーイングス。左:自ら手を動かすステファン・ディーツ。自身のドイツのスタジオにて。中:伊万里焼窯元『瀬兵窯』の焼成技術で、難しい形をものにしたトマス・アロンソ。右:藤城成貴は有田焼窯元『錦右エ門陶苑』と組んで大胆な色使いに挑戦。左:『香蘭社』と組んでスタッキング可能で機能的なティーセットを開発したインゲヤード・ローマン。白と黒の釉薬はこのコレクション用に開発された。右:柳原作品。デザイナーたちは2年間で2度、有田に足を運び、窯元の職人と交流を重ねた。写真・アナケ・ヘイマン&長谷川健太17世紀半ばから18世紀にかけて、オランダ (ニーゼロイチロク/)2016 /

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