SIGNATURE2016年06月号
57/78
TokyoSII■IGASHMPLICIMPLICIYAMAゝゝ[エス]はデザイナー・緒方慎一郎率いるSIMPLICIに立ち上げたプロダクトブランドである。和食料理店の『八雲茶寮』『H』、和菓子や器を扱う『HIGASHYA』などを運営しながら、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックなど多岐にわたるデザインやディレクションを行う同社のコンセプトは「現代における日本の文化創造」。なかでも彼らが設立初期から大切にしてきたのは「日本の食」の姿だ。Sゝゝ[エス]のラインナップの中心が器であるのは、食を表現するうえで欠かせないものだから。陶磁器はもちろん、鉄や錫、銅などの金属器や、漆器やガラス器など、素材は多彩。デザインはすべてが手がけ、それぞれの分野で高い技術を持つ生産者を全国から探し、製作を依頼している。彼らの強みは、製品化の前にまずは自社のレストランでサンプル品を試し使いすることができるところにある。いくらフォルムや色が美しくとも、使いにくかったり、壊れやすかったり、盛られた料理が美味しく見えなかったりしたら意味がない。実際に使って気づいた問題点は職人にフィードバックし、やり取りを重ねながら、最終の形まで磨き上げていくのだという。こうして生まれた器たちは、日本的でありながら、あらゆるシーンで使えるモダンな表情を湛えたものに。デザインと伝統工芸のバランスは、まさに絶妙だ。伝統を大切にすることは未来を切り拓くこと――そんな緒方氏=SIが、食の現場を美しいものにしていく。TYが2003年TYTYの理念伝統を継ぎ、未来を切り拓く現代生活道具の創造Sゝゝ[エス]Ⓒ Sゝゝ All Rights Reserved.Ⓒ 2014 HIGASHIYA. All rights reserved.*価格はすべて税抜左:「陶器 布目正角盛皿 粉引」(有田)8,200円(小)〜 生地に布をあてて仕上げた粉引の角皿。形状がシンプルで料理が引き立つ。右:「nuri WASARA 丸皿 中」(鯖江、径16.5㎝)3,600円。環境に優しく美しい紙の器「WASARA」に漆を塗って仕上げたのが「nuri WASARA」。漆ならではの味わいと軽さが魅力。左:「陶器 抹茶碗 内銀彩」(有田、径10㎝×高さ8㎝)13,000円。風合いを出すためにあえて陶石混じりの粗めの土を用い、一つひとつ手作業で成形。わずかにカーヴを描く筒型が優しく手になじむ。HIGASHIYA GINZA東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル2F電話 03-3538-3230www.higashiya.com/shop/ginza/http://shop.sss-s.jp/ I S63
元のページ
../index.html#57