SIGNATURE2016年06月号
58/78
ークレット〟イベントは、その「知られざる」英国の魅力の一端を垣間見る、絶好の機会であった。会場に選ばれたのは英国大使館公邸。七分咲きの桜が彩りを添える中庭の芝生に面したリビングにしつらえられたのは、ブリティッシュメイドのワードローブである。ビスポーク・テーラリングの聖地サヴィル・ロウに現存する最古のテーラー『ヘンリープール』のスーツをはじめ、シャツ、タイ、シューズから革小物に至るまで、英国の薫り漂うブランドが並ぶ。どれもけっして華美ではなく、むしろベーシック過ぎるほど質実で、「自分の人生と長くつき合っていけるものこそが、本当の意味でのラグジュアリーである」ということを、静かに語りかけてくる。オープニングの挨拶に登壇したティム・ヒッチンズ駐日英国大使は、そのブリティッシュ・ラグジュアリーの在りようを上品なスコッチウィスキーの香りにたとえ、また、野原幸二『三井住友トラストクラブ』代表取締役社長は、「ふだん立ち入ることのない特別な場所で、一夜にして未知なる英国の文化と歴史、さらには食事を愉しむことのできるこの機会」を、〝忘れえぬ体験〟という言葉で締めくくった。プライベートな邸宅で味わう稀有なラグジュアリー体験は、訪れた会員諸氏にとって、日本にいながらにして英国にワープした特別な一夜となったにちがいない。国の魅力とはなんだろう?英国政府観光庁の主催で行われた〝シこの3月、「着ている人の品位と品格を表す」という要素を最重要視して仕立てられた、英国王室御用達のテーラー『ヘンリープール』のエレガントなシルエット。左から:前庭から英国大使館公邸を望む。/英国社交界の薫り漂うパーティ。/エリザベス女王陛下ご生誕90周年を記念し、「世界500本限定」で生産された類まれなる品質のトウニー・ポート。飲み物は英国最古のワイン&スピリッツ商『ベリー・ブラザース&ラッド』社が提供。/『ハリソンズ』の生地で作られたクマのぬいぐるみ。〈 2016年3月24日開催 〉文・編集部Text by Signature靴づくりの町として知られるイングランド中東部・ノーザンプトンで、いまなお、かたくなにグッドイヤーウェルト製法を守り続ける『チャーチ』の靴。握手を交わすティム・ヒッチンズ駐日英国大使(右)と野原幸二『三井住友トラストクラブ』代表取締役社長。Event Report“Luxury Bespoke by VisitBritain”英国のラグジュアリーに触れた夜英
元のページ
../index.html#58