SIGNATURE2016年07月号
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《漁夫のフレスコ画》前17世紀/テラ(サントリーニ)島、アクロティリ、「西の家」第5室/高117.0cm/フレスコ/テラ先史博物館蔵©The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund会期:2016年6月21日(火)〜9月19日(月・祝)開館時間:9:30〜17:00、金曜は20:00まで※ただし、会期中の土・日曜・祝日は18:00まで、金曜および7・8月の水曜は20:00まで開館※入館はいずれも閉館の30分前まで休館日:月曜※ただし7月18日(月・祝)、8月15日(月)、9月19日(月・祝)は開館。7月19日(火)は休館会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)公式サイト http://www.greece2016-17.jp/お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)会期:2016年6月21日(火)〜7月10日(日)開館時間:9:30〜20:00※ただし6月21日(火)は17:00まで※入館は閉館の30分前まで休館日:会期中無休会場:東京国立博物館 本館特別5室(上野公園)公式サイト http://hankashiyui2016.jp/お問い合わせ 03-5777-8600(ハローダイヤル)クレタ島を中心に花開いた、ミノス文明(前3200年頃〜前1100年頃)の遺産から、大噴火を起こして灰に埋もれたテラ(サントリーニ)島で、描かれた時のままの色鮮やかさに保たれていたフレスコ画。神に豊漁を感謝するため、捧げ物の魚を持参した少年らしい。はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都で日本美術をみる【京都国立博物館】』(集英社クリエイティブ)。本館特別5室の展示は2体のみだが、同館の法隆寺宝物館にもぜひ足を運んでほしい。法隆寺に伝来した6〜8世紀までの金銅仏がずらりと並ぶ中に、まさに弥勒菩薩像と同じポーズ、表情の菩薩半跏像が含まれる。中には「亡き韓夫人のために発願造立した」という銘文の残るものも。日本美術の冒険 第25回文・橋本麻里 日本で、あるいは朝鮮半島でつくられたその像は、いずれも足を組み、頬に指を当て、遠い未来、釈迦に代わっていかにすべての衆生を済度するかと深い思いを巡らし、相貌にほのかな笑みを湛えている。56億7000万年ののちに現世へ下生すると予言され、菩薩の中でも最高位に位置づけられる、弥勒菩薩である。 日本への弥勒菩薩像の伝来の記録は、他の菩薩像のどれより早く、584年、鹿深(甲賀)臣が石造の弥勒菩薩1体を百済から持ち帰ったと『日本書紀』―時空を超えた旅―特別展古代ギリシャげしょうかふかのおみにある。日韓国交正常化50周年を記念した特別展「ほほえみの御仏─二つの半跏思惟像─」では、日本から中宮寺門跡の国宝「半跏思惟像」を、また朝鮮半島からは、ソウルの国立中央博物館が所蔵する国宝第78号「半跏思惟像」を世界で初めて(※日本展に先立ち韓国で展示)同時に展示。両国の文化的な交流の深さを、あらためて振り返る。 こうした仏の像が生まれたのは、偶像崇拝を禁じていたインドではなく、現在のアフガニスタン東部からパキスタン北西部、「ガンダーラ」と呼ばれた韓国国宝78号半跏思惟像韓国国立中央博物館蔵三国時代・6世紀©韓国国立中央博物館国宝 半跏思惟像奈良・中宮寺門跡蔵飛鳥時代・7世紀王国においてである。この地で1世紀末から2世紀初め、ペルシャ、ギリシャ、ローマなどからの影響色濃い西方的な仏像が生まれ、中国、朝鮮半島を経由し、ついに日本まで届いた。「特別展 古代ギリシャ」は、日本とも遙かな距離を隔てて確かにつながっている古代ギリシャをテーマとする、日本ではかつてない規模の展覧会だ。紀元前7000年紀まで遡る文明の発祥からミノス文明、ミュケナイ文明、アルカイック時代、クラシック時代、マケドニア時代、ヘレニズム、ローマへと、黎明から最盛期に至る「理想の美」の追究を、300件以上の作品によって、一望の下に展示する。日韓国交正常化50周年記念 特別展ほほえみの御仏―二つの半跏思惟像―はんかしゆいぞうみほとけExhibition InformationExhibition Information18ColumnSignatureText by Mari Hashimoto2Art海を隔てたほほえみと時を超えた多様性の美
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