SIGNATURE2016年07月号
37/88

今や多くの観光客で賑わうオアフ島のノースショア、ハレイワの町からほんの少し奥に入ったところに、ハワイ産のサツマイモで焼酎を造っている人がいる。平田憲さんは以前ハワイを訪れた時、タロイモを原料とした焼酎がないことに素朴な疑問を持ち、いつか自分で造ってみようと思いを温めてきた。鹿児島の『万膳酒造』で修業して焼酎造りを習得した後、彼は師匠から贈られた発酵用の甕壺を携えてハワイに渡り、蔵の建設から手造りで着手した。水道も電気もない中でコツコツと作業をする平田さんを見たハレイワの人たちは温かい手を差し伸べ、手助けしてくれたそう。牧野金三郎の功績を知る彼は、「優しい日系人が多く住むハレイワで焼酎造りができ、本当にありがたく思っています。牧野が残してくれた日本人としての美徳が息づいているんですね」と語ってくれた。春と秋の年2回、出荷数計6000本という少量生産だが、今年4年目を迎えてローカルにも人気が定着、「波花」ブランドのハワイ産焼酎は、有名シェフのレストランなどで食事とともに楽しむことができる。チャイナタウンの一角、市場の中の小さな店で絶品のマグロを食べさせてくれるのは、土屋純一郎・亮司郎さん兄弟だ。日本の築地やハワイでのレストラン経営を経験し、ハワイの伝統料理「ポケ」と刺身をメインに新鮮な魚を提供している。ハワイ近海で獲れるマグロはとても新鮮、作り置きをしな造り手の真摯な思いと、ハワイの大地が香り立つ焼酎ハワイアン焼酎カンパニー上:マグロの目利きには自信のある土屋兄弟。ひっきりなしに訪れる客を笑顔で迎える。右:軽く醤油にくぐらせた分厚い切り身がのった中トロ丼の美味しさは、一流レストランも顔負け。住所:1039 Kekaulike St. Ste 113, Honolulu, HITel:(808)259-7100営業時間:月〜土曜8:00〜15:00、日曜8:00〜14:00右上:ローカルが特別な日のディナーを食べに行くこの店は、地産地消をコンセプトにしたレストランとして草分け的な存在。牧野が暮らしたクリオウオウもすぐ近く、窓からは美しい遠浅の海を見ながら食事ができる。左上:「波花」焼酎は様々な料理と相性がよく、ハワイ島コナ産カンパチの刺身にもぴったり。上:穏やかな表情に熱い情熱を秘めた平田憲氏。奥様の由味子さんと二人三脚で蔵を切り盛りする。中:『万膳酒造』から譲られた100年以上の歴史がある甕壺の中で、サツマイモと麹をじっくりと発酵させて「波花」が完成する。下:蔵の裏に広がる畑では、平田さんの友人が丹精込めて原料となるサツマイモを育てている。問い合わせはkaloimo@gmail.comへ。住所:6600 Kalanianaole Hwy,Honolulu, HI Tel:(808)396-7697営業時間:月〜金曜17:30〜、土・日曜17:00〜(L.O.21:00)  地元民のお墨付き、日系人も大好きな新鮮マグロマグロ・ブラザーズ日系人シェフが腕を振るう郊外のレストランで地元食材と焼酎を堪能ロイズ・ハワイカイ39

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る