SIGNATURE2016年07月号
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た。国内・海外での日本酒の振興を目指すこのイベントの主旨に賛同してのことですが、それだけではなく、日本の食文化の担い手を応援する、育成するのが私たちのプロジェクトの大切な目的ですので、若手醸造家、あるいは若手の蔵元経営者を表彰したいと考えています。現在、世代交代に苦しみ、実質的に稼働できない蔵元が増えている一方、次代を担う若手が酒造界に新たな息吹をもたらしています。つまり、彼らに続く蔵元が生まれるよう微力ながら応援していきたいのです」単に表彰するだけでなく、資金・人・組織など、困っていることや助けを借りたいことがあれば、積極的にサポートしたいという。「会員の皆様に実際に日本酒を購入していただく機会を作ったり、試飲会を開くといった形で、販売促進の手伝いをするのもひとつの方法でしょう。名も知れぬ小さな蔵元が、世界的に有名な蔵元へと進化することだってありえます。その過程では、組織、事業、生産体制なども逐次見直す必要性がでてきます。一時のサポートだけでなく、その後もサポートできる形が理想です」今年10月に公開の築地市場ドキュ   メンタリー映画『TSUKIJIWONDERLAND』に協賛するプランもある。「日本食文化の中心的存在のひとつだった築地市場は、豊洲への移転に伴い本年11月に幕を閉じます。その一方で、場外市場は、今後も日本の食文化にとり大事な場所として生き続けます。この映画は、トップシェフから観光客まで、世界中の人々を惹きつけてやまない築地という場所で働く人々の生き様を描いています。二度と見られなくなる築地の姿を記録した映画であり、未来につながる映画だからこそ、応援したいと考えました」『日本の食文化応援プロジェクト』は、数か月単位の短期的視野で取り組まれるものではない。日本各地にある、広くは知られていない食材、料理、食文化を再発見するための〝長い旅〟のようなものだ。「全国に150近い拠点を持つ三井住友信託銀行の情報ネットワークも大きな力になってくれると期待しています。そうして再発見された〝食〟を紹介することで、日本中あるいは世界中から認められ、その地域が活性化してほしいとの願いもあります。ダイナースクラブは、単に決済手段を提供・利用する場ではありません。〝クラブ〟なのです。ともに育成、応援、サポートして共生するという考えがベースにあります。私には、〝日本の食文化の伝道師〟となってお客様に〝忘れがたい経験(リマーカブル・エクスペリエンス)〟をお届けしたいという強い思いがあります。未来へ向けて残していきたい日本の食文化を楽しむというアクションを起こしていただくことによって、じつは、日本の食文化を支える人々を応援することになります。会員の皆様には、ぜひ、私たちのこの取り組みに〝参加〟していただき、忘れがたい経験をご一緒したいと願っています」日本の食文化を応援します。71三井住友トラストクラブ株式会社代表取締役社長野原幸二

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