SIGNATURE2016年07月号
62/88
Premum部門」と2年ぶりに復活し寂の中、日本酒をテイスティングする音と審査員たちの歩みだけが響く。会場を埋め尽くす候補を最後のふるいにかけていく決審会の空気には、どこか神聖さが漂い、巡礼を思わせるものがある。予審会で3分の1に絞られたとはいえ、今年は過去最多の1462点の出品数。1日で、なんと500点以上を審査する。部門も、初めての「Super た「吟醸部門」を加え、「純米酒部門」「純米吟醸部門」「純米大吟醸部門」の全5部門が揃った。完全なるブラインドテイスティング。陳列順も、コンピューターがシャッフルする厳格さだ。審査員たちにみなぎる気迫あふれる表情にも納得がいく。 「今年の傾向は、お米が溶ける酒が多い年でした。お米の味わいをダイレクトに感じるものが多い半面、重すぎるとくどくなるので、バランスのよいものを高く評価しました」。そう教えてくれたのは、審査員の一人、福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの鈴木賢二氏。 「確実に、グレードアップしています。日本そのものの魅力とも言える日本酒にスポットライトがあたるこういう場を設けてもらえるのは幸せなことだと思います」と、自らが蔵元でもあり審査員も務める新澤醸造店の新澤巌夫氏は言う。45231i静1&3.審査方法は、完全に銘柄を隠した状態で、常温の日本酒をきき猪口に注いでテイスティングされる。2.今年から、ダイナースクラブが協賛。4.8000円を超える酒を対象とした「Super Premium部門」。ゲスト審査員の一人であるミクソロジストの山本幻氏曰く、「インスピレーションを得られる酒が多かった」。5.唯一の外国人審査員『Sake World sake newsletter』のジョン・ゴントナー氏。「日本酒は口に含んで5秒後に美味しいと思う奥深さが魅力です」。写真と文・小倉理加2012年、世界唯一となる市販酒だけの審査会として始まった「SAKE COMPETITION」。ダイナースクラブが協賛する今年は、第5回を迎え、過去最多の出品酒が結集した。日本酒業界の精鋭である審査員たちの白熱した審査の様子をお届けする。Photographs and Text by Rica Ogura72世界に広がる日本酒の輪SAKE COMPETITION 2016予審&決審会レポート
元のページ
../index.html#62