SIGNATURE2016年08_09月号
34/73

興で繰り広げる津軽三味線と囃子の演奏と、邦楽や楽器に関するワークショップ。この日行われた「音楽アウトリーチ」の舞台に立ったのは、津軽三味線奏者の山下靖喬さんと囃子の石森裕也さんである。会場に響き渡る超絶技巧の演奏で一気に聴衆を邦楽の世界へと導く。「邦楽や日本の文化について知ってほしい」と語る山下さんたちは、演奏の合間には楽器の種類や部位の説明、奏法などについて、自らの言葉でていねいに説明する。ユーモアたっぷりの語り口に、演奏中の緊張はほぐれ、笑いも起こった。質疑応答の時間にも次々と手が挙がる。本物の音色に触れた高校生たちは、全身を使って伝える演奏者と楽器の迫力に圧倒されていた。「生演奏なので、毎回発見があります。演奏家が考えていることを直接聞けるのもこの演奏会の魅力だと思います」。聴衆の一人だった吹奏楽部でコントラバスを担当している生徒が、興奮しながら話してくれた。このプロジェクトに携わる東京藝術大学の佐野靖教授は、音楽アウトリーチの目的について端的に語る。 「一つは本物の音楽をできるだけ多くの人に伝えること。音楽そのものと演奏するアーティストの素晴らしさを広めることです。もう一つは、演奏するアーティストたちがこの経験を通してもっと大きな演奏家になってほしいということです。今日の演奏会も彼らがプログラムから考え、演出も自分たちで行っています。アーティスト自身がコーディネーターやマネージャー的な視野を持てば、プロとして活動していくうえで必ず役に立ちますし、事が早く進みますから」音楽アウトリーチでの経験は、演奏家の未来を築く土台となっているのだ。やすたか50Artist Support ProgramDiners ClubEVENT REPORT写真・阿部昌也 文・山下シオン上:2016年3月22日(火)、横浜市立戸塚高校で行われた「音楽アウトリーチ」活動の模様。昨年の3周年スペシャルコンサートにも出演した日本を代表する津軽三味線奏者・山下靖喬さんの超絶技巧と話芸。NHK大河ドラマ『黒田官兵衛』に楽師としても出演した、笛と囃子の石森裕也さんの軽妙な舞いに、高校生たちは驚き、笑い、やがて絶賛の嵐。   即音楽家と聴き手が、双方向に関わり合いながら音楽に触れる機会を提供する「音楽アウトリーチ」。幼稚園や学校、病院などでコンサートやワークショップ、レクチャーを行い、新たな出会いと感動を呼んでいます。ダイナースクラブが2012年から支援するアーティストサポートプログラムの一環として、【ダイナースクラブ アーティストサポートファンド】東京藝術大学の若手アーティストに上質な演奏の機会を提供するために、2012年にスタートした「アーティスト サポート プログラム」も今年で4周年。この1年間の成果としてのコンサートを今年も開催します。また、ふだん生の音楽に触れる機会のない人たちへ音楽を届ける「音楽アウトリーチ」活動をサポートするためのファンドも3年目を迎えました。会員の皆様のリワードポイントで、若手演奏家をどうぞご支援ください。詳細は、www.diners.co.jp ▶ 優待&サービス ▶ エンタテイメント ▶ アーティストサポートファンドアーティストサポートファンドのお問い合わせは、コールセンターまで0120-074-024 (24時間/年中無休)「音楽アウトリーチ」がもたらす、新鮮な感動!

元のページ  ../index.html#34

このブックを見る