SIGNATURE2016年10月号
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ColumnSignatureText by Mari Hashimoto美術館で、「人類と文明の終焉」というテーマを引っさげた個展を開催するのが、現代美術作家の杉本博司だ。文明の終わりを語る33のシナリオと、その「遺物」で構成された「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」は、2014年にパリのパレ・ド・トーキョーで発表し、好評を博した作品の東京バージョン。さらに廃墟と化した米国の劇場にスクリーンを張り直し、作家自ら歴史の終わりを主眼に選んだ映画(たとえば『渚にて』など)を投影、長時間露光した「廃墟劇場」シリーズが、従来の「劇場」シリーズの進化版として世界で初めて発表される。さらに三十三間堂の千体千手観音像を撮影した「仏の海」は、大判作品による新インスタレーションとして登場するなど、杉本博司の現在形を体験できる、またとない機会になる。はしもと まり/日本美術を主な領域とするエディター&ライター。永青文庫副館長。著書に『SHUNGART』(小学館)、『京都 で日本美術をみる【京都国立博物館】』 (集英社クリエイティブ)。 《朝顔図屛風》鈴木其一筆六曲一双のうち左隻 江戸時代 19世紀アメリカ・メトロポリタン美術館蔵©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource,NY【東京会場のみ出品 全期間展示】杉本博司《最後の晩餐》サンディ(部分)1999/2012年、ゼラチン・シルバー・プリント©Sugimoto Studio東京都写真美術館リニューアル・オープン/総合開館20周年記念杉本博司 ロスト・ヒューマン33の滅亡のシナリオは、「理想主義者」「比較宗教学者」「宇宙物理学者」などを主人公に、終末の手記として描かれ、杉本自身の作品や蒐集した古美術、化石、書籍、歴史的資料等でインスタレーションを構成。浄土か廃墟か、人類の未来を遥かに遠望する作家の境地とは!?会期:2016年9月3日(土)〜11月13日(日)開館時間:10:00〜18:00(木・金曜は20:00まで)※9月9日(金)・10日(土)は21時まで開館 ※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:月曜 ※ただし月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館会場:東京都写真美術館 2階・3階展示室(恵比寿ガーデンプレイス内)公式サイト http://topmuseum.jp/お問い合わせ 03-3280-0099先達の作品を踏まえた上での「継承と発展」は、琳派画家のお家芸。光琳の燕子花と美しい対照を成す朝顔図はもちろん、表装まで絵画化した、一種のだまし絵のような描表装を用い、虚実がない交ぜになる錯覚を企図した作品など、さまざまな趣向を楽しむことができる。会期:2016年9月10日(土)〜10月30日(日)開館時間:10:00〜18:00(金・土曜は20:00まで) ※ 9月18日(日)・21日(水)、10月9日(日)は20時まで、10月22日(土)は22時まで開館 ※いずれも入館は閉館の30分前まで休館日:火曜会場:サントリー美術館(東京ミッドタウン ガレリア3F)※作品保護のため、会期中展示替を行ないます。※本展は姫路市立美術館(11月12日−12月25日)、 細見美術館(2017年1月3日−2月19日)へ巡回。公式サイト http://suntory.jp/SMA/お問い合わせ 03-3479-8600日本美術の冒険 第27回文・橋本麻里 琳派誕生400年に続いて、「さてどんじりに控えしは」とばかりに登場するのが、江戸琳派の継承者・鈴木其一だ。尾形光琳の活躍から約100年、酒井抱一がより写実的な画風を確立し、江戸琳派の基盤をつくった。この抱一門下随一の秀才として頭角を現すのが、鈴木其一である。 俵屋宗達、光琳、抱一と受け継がれた《風神雷神図》を大画面の襖絵に再構成した作品や、煌びやかな中にも幕末的なデカダンスの雰囲気を湛える《夏秋渓流図屛風》など、同時代の■飾北斎や歌川国芳らの影響も受けながら、独自の画風を作り上げていく。中でも今回、晩年の傑作として知られる《朝顔図屛風》が、メトロポリタン美術館から里帰りするのは見逃せない。光琳《燕子花図屛風》と同じ色彩構成ながら、其一の画面には、無限に増殖しようとする朝顔の鮮烈な生命力が横溢している。 対して、リニューアルした東京都写真杉本博司《パラマウント・シアター、ニューアーク》2015年、ゼラチン・シルバー・プリント©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagiきいつほういつかきつばたず20Exhibition InformationExhibition InformationArt鈴木其一江戸琳派の旗手2江戸琳派の真打ちと、リニューアルなった写真の殿堂
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