SIGNATURE2016年11月号
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奇跡の松阪牛三重県・桑名市が発祥地の松阪牛で有名な『柿安本店』。みごとな刺しの入った同店の松阪牛のすき焼きは、甘くて香り高く、最高峰の一つであることは間違いない。その『柿安本店』が特別な場所として、この6月に『銀座別邸』をオープンさせた。銀座の真ん中なのにわかりにくい入口、ビルの中なのにそれをひとかけらも感じさせない、玄関から部屋に続く静寂なアプローチ……。まさに特別な場所だ。趣向が違ういくつかの個室の中でただ一室だけ、鉄板焼き専用の部屋がある。8人は座れるであろう大きなL字型カウンターに、椅子は4脚のみ。この日は我々3人だけという本当に贅沢な空間で、専属シェフによる鉄板焼きのスタートだ。先附の松阪牛のしぐれ煮は、今宵は新たなスタートを感じさせる真っ白な「柿」の器に入っての登場。肉の旨みが凝縮している大好きな一品だ。実はこのしぐれ煮がお目当てのお客様も多いらしいとオーナーから聞く。そして、季節感のある前菜がそれに続く。小さな色とりどりの器は見た目にもかわいい。農家から直送の新鮮な九条ネギは、火を入れてもクタッとせず歯ごたえがいい。    そして、血統証と一緒にメインの松阪牛が登場! 『柿安本店』がとことんこだわった松阪牛A5ランクのその肉は、松阪牛全体のたった1パーセントにも満たない超希少品なのだとか。名づけて「1%の奇跡」。この日は贅沢にもフィレとサーロインの食べ比べだ。フィレはお箸で切れるほどの軟らかさ。本当に美味しい肉は、塩胡椒に少量の山葵だけが最高だ。繊細な脂身の松阪牛は、ほかの牛肉と比べて融点が低いため、しつこさがほとんどなく肉の旨みがそのまま感じられる。すき焼きもあみ焼きももちろん素晴らしいが、この部屋でしか食べられない柿安ブランドの松阪牛鉄板焼きをぜひ味わってほしい。十分に行き届いたおもてなしの心と共に、どこまでも温かい時間を贅沢に過ごさせてくれるはずだ。16銀座別邸『柿安本店』が厳選に厳選を重ねた「柿安 松阪牛(1%の奇跡)」を鉄板焼きで堪能する「柿安 松阪牛(1%の奇跡)サーロインステーキ〈雪〉コース」は、22,000円(税・サ別)。コースは、先附、前菜、サラダ、ステーキと季節の野菜、口直し、食事、甘味と流れていく。鉄板焼きのほかにすき焼きや炭火あみ焼きのコースも。手軽に楽しめるお昼のメニューもある。東京都中央区銀座2-5-11デビアス銀座ビルディング 9F電話:0120-60-1129営業時間:12:00〜15:00(最終入店 13:30)、18:00〜22:00定休日:不定休料理長NumberPhotographs by Shigeki Kuribayashi Text by Tomoyasu ShitayaKoji Muraishi今月の一皿村石浩司114

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