SIGNATURE2016年11月号
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of Kngs)」と呼ばれてきたポロの魅英国王室にゆかりの深いスポーツといえば、まず思い浮かぶのがポロだ。エリザベス女王の夫君、エジンバラ公からチャールズ皇太子へ、皇太子から王子たちへと受け継がれてきた。ポロポニーを颯爽と乗りこなすウィリアム王子やハリー王子の勇姿は、つねにメディアを騒がせている。また、今年3歳を迎えたジョージ王子のポロ教育も、すでに予定されているという。キャサリン妃をはじめ、王室メンバーの家族らが試合に同行することも少なくない。古くから「王のスポーツ(The Sport 力は、何といっても広大な緑の芝地を騎馬で疾走するスピード感と迫力だろう。巧みな馬術と戦略を駆使したチームの攻防が、観るものを圧倒する。加えて、家族ぐるみで楽しめる社交的な側面もこの競技ならではの特質だ。ポロマッチ観戦にはピクニックやアフタヌーンティーがつきもの。主要な大会になると、競技場はセレブや著名人も出没する華やかな社交場と化す。ポロの歴史を繙いてみると、その起源は紀元前6世紀のペルシャに遡る。王族や騎馬隊の間で武術訓練として普及し、インド、中国、日本へと伝播。平安時代には宮廷行事となり、騎馬打毬の伝統は今なお神事として残っている。一方、英国へは植民地時代のインドに駐留した英将校らが持ち帰った。ひもと646月に開催されたクィーンズカップ決勝戦の一コマ。大接戦のすえ優勝候補のドバイチームがラ・インディアナを1ゴール差で制した。自身8度目の優勝ゴールを決めたのは、世界ランキングNo.1の名プレイヤー、アドルフォ・カンビアッソ(右端)。ミニマレットで遊ぶ少女。ハーフタイムには観客がフィールドに集まり、試合でできた穴を埋める習慣(Divot Stomping)がある。世界で最も古いチーム競技のひとつ、ポロ。日本では馴染みが薄いが、近代ポロの歴史と文化を育んできた英国では、王室御用達のスポーツとして知られる。英国人も憧れるポロ競技の魅力を探ってみた。 i19世紀後半に現在のルールが制定され、Photographs by Shu Tomioka Text by Kumiko Andoポロ王侯貴族のスポーツ
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