SIGNATURE2016年11月号
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イトには、日本酒を中心に全国のこだわりの生産者とそのモノ作りを応援するためのファンドが多数掲載され、個人からの出資を募っている。そして、それぞれのファンドのページには、ファンドが成立し資金調達が実現したら行う事業計画の内容、さらにリスクなどが詳細に説明されている。感動的なのは、そのひとつひとつにあふれている生産者の熱い想いだ。このファンドの力で事業を発展させることに成功した生産者も多い。たとえば宮城県大崎市の酒造会社『寒梅酒造』の「寒梅酒造宮寒梅ファンド」は、そんな成功例のひとつ。同社はこだわりの純米酒造りで、全国新酒品評会で金賞を獲得するなど、入賞の常連だったが、東日本大震災で被災。旧蔵が倒壊するなど甚大な被害を受けた。だが、新蔵の建設を中心とする事業復興計画に基づいてファンドを公募し、1000万円の資金調達に成功した。2014年からは再び全国新酒品評会に連続入賞を果たすなど、ファンドと自らの努力でみごとな復興を遂げた。 「私たちは、独自のこだわりで優れたお酒や食品をつくる生産者の方々を心から尊敬しています。そしてファンドをつくる際は、いつも生産者の立場に立ち、適正な規模や内容を心がけています。これまでの成果は、この方針のおかげだと確信しています」法律的には個人の出資者が、匿名の組合員として事業に参加するという形になるこの投資。投資額が1口数万円と少額なので、大きなリターンが期待できるものではない。だが、顔の見える生産者を直接応援する。その生産者とコミュニケーションを取りながら、その発展を見守ることができる。この喜びは特別だ。この春、『セキュリテ』での投資型 た(2か月で上限10万円まで)。このクラウドファンディングの購入に、ダイナースクラブでの決済も可能になっ新しい投資に興味を抱かれた方は、ぜひ同社のサイトをご覧いただきたい。87全国からの出資と応援を力に!着実に復興する寒梅酒造応援したいその気持ちが少額でも生産者の力にセキュリティーズ(株)「寒梅酒造宮寒梅ファンド」取扱者ミュージック酒販店問屋など合名会社寒梅酒造匿名組合勘定右:『寒梅酒造』の岩崎さん夫妻。酒米づくりから酒づくりまで自ら行うこだわりの純米酒が信条。中:ファンドでの資金を元に完成した冷房装置付きの新蔵。大震災前以上の品質を実現し、さらには四季醸造を目指している。左:ファンドの購入者(出資者)には、蔵での日本酒仕込み体験、田植え体験などの特典も用意。また出資額に応じて日本酒も届く。投資型クラウドファンディングの仕組み。生産されたものの価値を認め、生産者のこだわりを応援したいという人と生産者を、インターネットを通じて繋ぐ。一人の出資額はごく少額だが、不特定多数の人に出資してもらうことで、事業に必要な金額の資金調達を実現。ネット時代の、これまでにない新しい形の投資である。出資金取扱手数料出資者応援金出資金分配金購入卸販売営業者〈寒梅酒造の場合〉購入者設備購入費組成、出資金・契約締結の取扱・運営・監査購入直接販売酒造設備資金フロー業務フロー設備メーカー等
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