SIGNATURE2017年01_02月号
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スペイン内陸部の都市・ブルゴスから南西に車で約1時間半、スペインを代表するワインの産地、リベラ・デル・ドゥエロの最高峰ワイナリー『ベガ・シシリア』に到着すると、燦々と輝く太陽が訪問者を迎える。盛夏とはいえ朝は多少冷んやりとしているが、この大陸性気候の寒暖の差がブドウの凝縮度を増幅し、またこの辺りに広がる石灰岩や沖積土などの豊饒なテロワールが、複雑かつ力強いワインを生む礎石となっている。レンガ造りの建物を囲むブドウ畑やコルクガシの植林などの壮大な景観に魅了されつつ、世界的に活躍するソムリエ、田崎真也氏との美酒と美食の旅が始まった。創業1864年の同ワイナリーで最もプレステージの高いブランド、ウニコは、テンプラニーリョとカベルネ・ソーヴィニヨンの個々の持ち味を活かして完璧にブレンド、土着酵母を使って木製タンクで温度を管理しながら発酵させる。その後、木樽で6年間、ボトルで3年以上熟成させるその味は、世界のワイン通の垂涎の的だ。地下貯蔵庫など、一般公開されていないこのワイナリーを特別に見学できることに加え、ウニコを含む数種類のワインを田崎氏と試飲できるのは、この旅のハイライト。この日はウニコの2005年のヴィンテージが登場した。「ウニコは力強くて凝縮感のあるワインと思われがちですが、2005年はとてもエレガントな印象ですね」と田崎氏。氏のコメントを聞きながら極上のウニコを試飲できる瞬間こそ、ワイン愛好家に至福の美酒と最新ガストロノミー50左:『ベガ・シシリア』のワイン哲学を体現するプレミアムワイン、ウニコ。スペイン語で「ユニーク、唯一の」を意味する。右:瓶内熟成中のウニコがずらりと置かれた熟成庫内で、同社テクニカルディレクターのゴンサロさんと話す田崎氏。この倉庫内に眠るウニコのトータルの想定価格は、なんと1億ユーロ(約120億円)とのこと!左:「ジャポネーズルーム」と呼ばれるゲストハウスで試飲をする、田崎氏。 中:ワイナリーの敷地内には、約300種類の木々や植物を栽植した禅的な静けさが漂う日本庭園があり、そのギャップに驚かされる。 右:熟成中のウニコのボトルが収められている倉庫。 もちろん、厳重な警備体制が敷かれている。  ベガ・シシリア Pilgrimage to the Wine Heaven Spain「世界的に類を見ない長期樽熟成から生まれる芳醇な味わいは格別です」VEGA SICILIA “UNICO”

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