国際色豊かな食文化を育み、とりわけ中華料理の老舗や名店が揃う神戸。店の規模はさまざまだが、神戸旅のディナーなら、料理はもちろん、神戸らしい雰囲気もある『中国菜館東天閣』がおすすめだ。開港以来栄えたトアロードに1945年(昭和20年)に創業し、異国情緒と伝統ある北京の宮廷料理を提供している。建物は1894年(明治27年)にドイツ系アメリカ人のF・ビショップが家族のために建てた邸宅で、神戸に現存する最古の木造異人館。店を訪れると黒服のウエイターが玄関で迎えてくれ、中にはステンドグラスの窓やマントルピースのあるダイニング、コロニアル風バルコニーなど、昔の洋館の佇まいや意匠がそのまま残されている。9室ある部屋の多くは個室利用でき、丸テーブルにつき、その優雅な雰囲気を楽しむ中、華やかな料理が次々と運ばれてくる。おすすめの前菜は、高級食材の伊勢海老夜 富む空間とともにしっかりと心に刻まれる。をはじめ、くらげやオリジナルの三色卵のテリーヌ、蛸のやわらか煮、蒸し鶏など、厳選された食材の盛り合わせ。上質のスープで煮込んだフカヒレは噛みしめると口の中で旨みが一気に際立つ。煮込んでから焼き上げる特製スペアリブの照り焼きは想像以上にやわらかく、シンプルだが深い味わい。人気の活け鮑の和え麺は肝をソースに使い、いずれもひと手間ふた手間かけた、ここならではのおいしさがある。奇をてらわず印象深い正統派の味――異国の風趣に贅を尽くした逸品中華58右上:ひね鶏の身やガラ、豚骨、中華ハムを使い、白ネギや香味野菜を加えて煮出した自慢のスープを使って上品な味つけがされたフカヒレの姿煮120g10,800円。左上: 活け鮑の和え麺2,800円。麺にあわびの肝ソースがよく絡むように特注の平打ち麺を使用。夏場は冷麺にして供される。右下: 伊勢海老付き前菜15,600円(4人前)。テリーヌの卵は卵黄とピータン、塩卵の3種類。左下:特製スペアリブの照り焼き2,200円(2本)。骨からはらりと外れるほどやわらかな肉は味わい深く、常連客が楽しみにする一品。コースも充実し、昼4,000円〜、夜8,000円〜。(すべて税抜)住所:神戸市中央区山本通3-14-18 電話:078-231-1351営業時間:平日11:30〜14:00(L.O.)、17:00〜20:00(L.O.) 土・日曜・祝日11:30〜20:00(L.O.)無休 http://totenkaku.com/異国情緒あふれる館で華のある宮廷料理を中国菜館 東天閣
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