SIGNATURE2017年01_02月号
58/84

64右:大和屋さんの胸に光る、馬主であることを証明するピンバッジ。個人馬主の資格は過去2か年の年間所得が1700万円以上、資産が7500万円以上(預貯金、不動産、有価証券など)となっており、馬主になると馬の取得代に加えて所有馬の管理費(預託料)が必要となる。中と左:GⅠ出走が叶った馬主ならではのパドック内体験にも興奮。右:「ダービールーム」は16室からなり、過去16年のダービー優勝馬の馬名が部屋名としてつけられている。ホテルのごとき優雅な空間の中、専用スペースで馬券の購入もできる。馬主体験イベントはネオユニヴァースとタニノギムレットの名が冠された2部屋を使って行われ、アペリティフを楽しみながらトークショー、ランチ、レース観戦、パドック内覧など、多彩なコンテンツを満喫。当日はクリストフ・ルメール騎手が武豊騎手と並ぶ1日8勝(3連勝、2着、4連勝、4着、1着)を記録し、レースも大いに盛り上がった。鈴木さんの軽妙で分かりやすい解説、そしてトレードマークのお帽子姿に参加者からは記念写真のリクエストも。大和屋さんは今年取得したジャスタウェイの仔が、前日の京王杯2歳ステークス(GⅡ)を制したモンドキャンノの下にあたり、ハーツクライから3世代にわたる夢物語に早くも期待が膨らむ。競馬を深く知るための、レースの向こう側のストーリー晴れの澄み切った青空の下、11月秋6日、日本の競馬シーンを代表する東京競馬場を舞台に、ダイナースクラブ会員に向けたスペシャルな馬主体験イベントが開催された。 会場となったのは富士山を望むフジビュースタンドの最上階(8階)に位置する、JRAの来賓用特別室「ダービールーム」。歴代ダービー馬の名が冠された優雅なラウンジが連なる特別フロアで、食事や飲み物を楽しみつつ、レースが始まればそれぞれの部屋の前に設けられた専用観客席から観戦することができる。 当日は、世界一に輝いたジャスタウェイ(2014年ロンジンワールド・ベストレースホースランキング)の馬主である大和屋暁さんと競馬パーソナリティの鈴木淑子さんのトークショーも開かれ、馬主の魅力の数々がユーモラスに、リアルに語られた。 大和屋さんは高校生の時にオグリキャップに魅了され、「馬主になること」を決意。そして「馬主になるため」にシナリオライターの世界に入り、馬主へのステップとして参加した『社台サラブレッドクラブ』の共同出資制度でハーツクライ(有馬記念でディープインパクトを抑え優勝、ドバイシーマクラシックでも勝利)と出会う。そして夢は現実に。30歳代にして馬主資格を取得し、2頭目に持ったのがジャ写真と文・根本 淳スタウェイだ。   大和屋さんの活躍を鈴木さんは稀代のミラクルストーリーと評するが、夢のような成功の可能性を秘めているのも馬主の魅力。大和屋さんの馬選びは「ロマン」派で、ハーツクライを選んだのは柴田善臣騎手のファンで、柴田騎手が主戦を務めていたアイリッシュダンスの仔だったからというもの。ジャスタウェイも大好きなハーツクライの仔がほしいの一念で手に入れた。父同様に脚が外向していたが、その分、手の届く価格だったというから、何が幸いするかわからない。 「馬は成長が待ち遠しい家族のようなもの」と大和屋さんは語る。「デビューをしたら応援でいろいろな競馬場を巡り、美味しい食べ物やお酒にも出合え、友人も増えました。北海道で開催されるセレクトセールでの優雅なひと時も毎年の楽しみのひとつです」。 イベントではGⅠ出走時の馬主にしか叶わないパドックの内側にも入ることができ、参加者は特別な一日を堪能。未来の馬主のミラクルストーリーがここから始まるかもしれない。vol.Photographs & Text by Jun Nemoto日本競馬の聖地で優雅な馬主体験05

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る