地ユ中海は、屈フ指ラのン港ス湾で都も市・首マ都ル・パセリイに次ぐ規模の都市だが、そのアクセスのよさの割には観光資源が乏しかった。そのような状況の中で、TGVの停まるサン・シャルル駅のほど近く、移民の多いベル・ド・メ地区の荒廃したタバコ工場跡に、1992年、『ラ・フリッシュ(耕されていない土地の意味)』という施設が生まれた。これは地域の若年層に教育と文化を提供し、地域住民を広い世界へと解放する「自由、柔軟、開かれた」場を目論んでいた。 現代フランスを代表する建築家のひとり、ジャン・ヌーヴェルの指揮の下、すさんだ地域に文化と都市のプロジェンス2013」を機にその規模を拡大し現在は、東京ドーム2個分の広大な施設に約70の関連団体と400名を超えるアーティストが活動している。 街のあちこちにあった潜在的な観光資産に光が当てられ、旧港、サン・ジャン要塞付近を中心に1年で10以上もの文化施設が新たにつくられた。市民を含め訪れる人々は、紀元前から密かに輝き続けていたこの地中海沿いの街の魅力に初めて気づきはじめたのだ。 かつて多くの日本人たちが長い船旅クトの双輪が徐々に回り始める。やがて活動は地域全体に波及し、治安や教育レベルも向上しはじめた。マルセイユがヨーロッパ文化首都に選ばれた「マルセイユ・プロヴァ取材協力屋上庭園はデザイナー、オラ・イトによって運営されている現代アートセンター『MAMO』となって2013年より開放されている。取材時の展示はフェリーチェ・ヴァリーニによるインスタレーション。www.mamo.fr中層階には「通り」と呼ばれる、商店などが並ぶ、広く明るい廊下がある。プルーヴェの階段、ペリアンのキッチンなどのオリジナルが残る住戸内は、マルセイユ観光局の特別ツアーで見学できる(要予約)。47フランス観光開発機構 ▶http://jp.france.fr/マルセイユ観光局 ▶www.marseille-tourisme.com/jp/ル・コルビュジエ(1887~1965年)スイスで生まれフランスで活躍した建築家。モダニズム建築の礎を築き、「近代建築の三大巨匠」のひとりに数えられる。ル・コルビュジエの名は、祖先の名に由来するペンネーム。サン・テティエンヌ観光局 ▶http://saint-etiennetourisme.comブッシュ・デュ・ローヌ県観光局 ▶https://www.myprovence.fr/「輝く都市」とも呼ばれる巨匠ル・コルビュジエを代表する集合住宅「ユニテ」は、「統一体」と「単位」という二重の意味をもつ。都市を垂直方向に実現した建築には、ひとつの都市が内包されている。Cité Radieuse Le Corbusier 280, Bd Michelet13008 Marseille - Francewww.marseille-citeradieuse.org建物内のホテルと共に営業しているレストランの名前は、ピーター・グリーナウェイの映画と同じく『建築家の腹』。店内からは地中海が一望できる。ユニテ・ダビタシオン1952年Unité d’habitation Le Corbusier, Marseille
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