長るく寒ヨいー冬ロがッ去パる諸こ国とでをは心、イ待ーちスにタすーは〝春の訪れ〞とされる。そのイースター直前の1週間は「聖週間」と呼ばれ、一年の中でも重要な週と位置づけられている。なかでも木曜日からの3日間は、特別な礼拝が行われるのが通例だ。 木曜日は「聖木曜日」、または「洗足木曜日」といい、イエス・キリストが最後の晩餐の時に、弟子たちの足を洗ったことを思い起こす日で、ドイツ語圏では「緑の木曜日」と呼んでいる。これには諸説あるが、もっとも有力な説が「嘆きの木曜日」を意味する〝グライン・ドンナスターク〞が、いつの間にか〝緑〞を意味する〝グリュン・ドンナスターク〞に訛ったというもの。いずれにしても、水と緑が豊かなドイツでは、古くから春の生命力の象徴である緑を、野草を摘んでそのまま食べたり、野菜スープとして飲んだりしていた。季節の変わり目にハーブで体調を整える――日本では「春の七草」的な知恵である。 そんなドイツでも、フランクフルト周辺で今も伝わるのが「グリューネ・ゾーセ(緑のソース)」と呼ばれるハーブのソースだ。先述の「緑の木曜日」に初物として食べるのが、古くからの風習として残っている。なま上:木組みの家は、純粋で素朴なドイツ文化の象徴的な存在。同じ木組みの家でも、地方ごとに色合いや装飾が異なる。中と下:フルダの教会堂は、ドイツの守護聖人・ボニファティウスに奉られたドイツ・カトリックのシンボル的な存在。33聖木曜日はイエス・キリストと使徒たちの最後の晩餐を記念する日であり、その席でイエスがへりくだりの行いとして弟子たちの足を洗ったという記述が『福音書』にある。
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