SIGNATURE2017年04月号
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『Landgrafenstube(伯爵の間)』では、復を指示した。そのかいあって、ヴァルトブルク城は、「文明の稀な証拠たるもの」として、1999年に世界遺産に登録されている。 城の一部として隣接する『ヴァルトブルク・ホテル』のメインダイニングテューリンゲンの深い山々と緑を眺めながら、郷土料理が楽しめる。定番は、テューリンゲン地方が誇る炭焼きソーセージだ。「ソーセージってこんなに美味しいものなのか!」と、しみじみ感動する逸品だ。 アイゼナハから鉄道で東へ約1時間のワイマールは、ゲーテが人生のほとんどを過ごした街だ。 1775年、ワイマール公国の君主、カール・アウグスト公は、26歳のゲーテを招請し、ワイマール公国の枢密顧問官に任命した。ゲーテはインフラ整備に、農業振興、財政再建等の行政的手腕を発揮し、政治家として数々の要職を歴任。ついには宰相にまで上りつめた。 また、プライベートでもシラーをはじめ多くのよき理解者に恵まれ、そして多くの恋愛を重ねた。なかでも、移り住んで間もなく恋に落ちた、7歳年上のシュタイン夫人と過ごした満たされた時間は、多くの詩を生むこととなった。 ゲーテが暮らしていた家は現在、博物館として一般公開されている。代表作『ファウスト』を完成させた立ち机も、そのまま残されている。また、ゲーテの家の隣に立つ、450年の歴史を持つ老舗ホテル&郷土料理レストラン『ツム・ヴァイセン・シュバイン』には、ゲーテの四方山話がたくさん残されている。「ゲーテはよくここで知人や友人と語り明かし、独りでワインを何本も空にしていたそうです。当時、ゲーテがよく注文した魚料理やデザートのレシピも残っていますよ。そして、こんな言葉も。『人々は踊り、しゃべり、料理し、愛し、そして私に言う。どこにそれ以上素晴らしいことがあるというのか』と」。  支配人のトーマス・ファイト氏は、そう話してくれた。よもやまばなしゆかりEisenachLandgrafenstubeランドグラフェンスチューベAuf der Wartburg 2, 99817 Eisenach+49 3691 7970http://wartburghotel.de世界遺産のヴァルトブルク城はワーグナーの名作『タンホイザー』の舞台。その所縁の「歌合戦の大広間」は、今も華麗な色彩で当時の華やかさを物語っている。右:ヴァルトブルク城に隣接するレストランでは、クラシカルな雰囲気で郷土料理をいただける。下:ドイツ全国に数多あるソーセージの中でも、ハーブを練り込み炭火で焼いた、名物・テューリンゲンソーセージは格別の味。アイゼナハ

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