玄く関をる入のるが、と10まメずー目トにル飛のび吹込きん抜でけの意匠。無骨な太い柱に囲まれた空間に、巨大な小槌のオブジェとその奥にフューシャピンクのアルネ・ヤコブセンのエッグチェアという配置がおもしろい。里山の風景の中に溶け込んだ威風堂々とした建物は築150年の古民家。その存在感はそのままに、暖房効率や騒音などの環境を最大限に考慮。一大改修を施してデザイン性を備えた宿として2014年に誕生した。地方の観光活性化への斬新なアプローチとして注目されている。 この宿での楽しみは2つある。まずはなんといっても温泉。オーナーが惚れ込んだという巻機山を望む露天風呂の雄大さは、ここならでは。ぬるりとした湯あたりの温泉は、ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉。天然の美容液のように肌を潤わせ、じわりと体を温めてくれる。いまだ雪をかぶった峰々を愛でるもよし、晴れていれば夜には満天の星が降り注ぐ贅沢もある。 そして、もうひとつの楽しみがダまきはたやまイニング『早苗饗』での食事。早苗饗とは、田植えを手伝った人間をもてなすことを指す。本格的な和食を修業したフードクリエイター、アーユルヴェーダを学んだシェフなどがクリエイトするメニューは、地元・魚沼の米や野菜、森の山菜にはじまり、新潟の鮮度の高い魚介類など、土地に根付いた食材を慈しみ、味わう楽しさをゲストへ伝承する。 夕食の最後には宿みずから手がけた南魚沼産の土鍋で炊きあげたご飯がテーブルを飾るが、これがしみじみと美味しく、日本の自然、生産者への感謝の気持ちが湧き上がる。けっして高級な食材を使った料理ではないが、食べ終わったときの充足感、満たされた思いは深い。 翌朝はさらに懐かしいような朝食メニューが登場。野菜たっぷりの鍋、野菜を細かく切った「きりざい」と呼ばれる郷土料理がテーブルをにぎわす。炊き立ての南魚沼産コシヒカリは白米か玄米で。野菜を中心としたメニューが多く、これもまた里山らしい提案で、ついおかわりしたくなる。さなぶり日本人の心に響く温故知新の宿里山十帖Satoyama Jujo巨大な小槌のオブジェ。下に木彫りの神様が鎮座。奥のエッグチェアとの絶妙なカラーバランスが印象的だ。里山十帖住所:新潟県南魚沼市大沢1209-6電話:025-783-6777http://www.satoyama-jujo.com*アーリーチェックインとライフスタイルショップ『THEMA』のお土産をプレゼント。ご予約の際に『SIGNATURE』を見たと必ずお伝えください(2017年5月10日まで)。吹き抜けの玄関から階段をのぼるとラウンジ「小屋組み」があり、イームズ、柳宗理などの作品を配置。52
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