SIGNATURE2017年04月号
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 日本酒造りに情熱を注ぐ地方の小さな蔵元のように、こだわりのモノづくりを行う「つくり手」は日本に数多くいる。しかし彼らの多くは「事業規模が小さい」「融資の担保になる不動産がない」などの理由で、既存の金融機関やベンチャーキャピタルから資金の融資を受けることができず、事業資金づくりに日々苦労している。 この金融の問題を「投資型クラウドファンディング」という新しい方法で解決する、つまり事業計画を証券化(=ファンド化)し、ネット上で彼らのモノづくりを応援したい個人を募り、1口数万円程度の投資をしてもらうことで事業資金の調達を行う。それが『ミュージックセキュリティーズ(MS)』が2009年から運営する少額投資プラットフォーム「セキュリテ」。 現在400社近い事業者とこのファンドを展開し、ダイナースクラブの「日本の食文化を応援します」プロジェクトにも参画する同社は、昨年から、つくり手をさらにサポートするための新しい挑戦を開始した。 世界的なデザイナー・佐藤オオキ氏のデザインオフィス『nendo』とともにはじめた新サービス「ファイナンセンス*」である。 MSの代表取締役を務める小松真実さんはこのサービスをつくったきっかけを語る。 「技術やモノづくりの力はあるのに、注目されていない。そんなつくり手たちに対して何かできないか、と前々から思っていました」  同じ気持ち、悩みを佐藤さんも持っていた。 「デザインの現場でも、資金が十分にないことで、将来への大きなチャレンジがなかなか難しい。そんなケースをいくつも見てきました。何とかしてあげたい。でも、デザイナーとしては何もできない……」*ファイナンセンス=Finance(金融)とSense(感性)を合わせた造語日本の食文化を応援します。59MS代表小松真実

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