SIGNATURE2017年05月号
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 今月号は少し切ない話になりそうだが、なるたけ楽しい記憶を辿って、友人であり、師でもあった一人の方の話を書きます。 今春、三月に、この連載の挿画を描いてくださっていた長友啓典氏が逝去されました。七十七歳の春を迎えた日でした。 七年前の秋に手術をされ、その後は仕事にも、大好きだったゴルフ、美食にも旺盛に親しんでおられました。 去年など、一年で百五十ラウンドをこなし、二日に一度はフェアウェーを歩いているほどのゴルフ好きでした。 長友さんの、いや彼を知る大半の人が、親しみを持って呼んでいた〝トモさん〞という愛称で語りましょう。 トモさんの仕事はグラフィックデザイナーでした。五十五年間、デザインの業界で数多くの、素晴らしい仕事をされました。それ以上にトモさんは、人とのつき合いの良さから、〝皆のトモさん〞、度が過ぎる情愛を抱く人からは〝私のトモさん〞と呼ばれていました。 私とトモさんのつき合いは三十数年で、初対面からの十年近くは、一年の内の三百日余りを一緒に過ごしました。この日数は、単純に申せば、家族といる時間より、二人でいた時間の方が長かった計算になります。 今から思うと、何が、どこが、お互いが気に入って、そんなに長く一緒にいたのか、その理由はよくわかりません。 それでも思い返すと、あの十年ほど楽しかった日々はなかったように思います。 十歳も年上の、中年にさしかかろうとしていた関西弁で口数少なに、何事かを話す人と、まだ蒼さの抜けない、喧嘩早くて、時に酒場で大ト第一〇二回銀座Text by Shizuka IjuinIllustrations by Keisuke Nagatomo 4今今夜夜もも中中へへ行行くくででゴゴルルフフのの真真髄髄がが見見ええたたややろろうう。。よよううややっっととああんんたたもも

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