ルリンを代表するスタートアップ企業『ペット・デリ』は2013年の創業。冷凍した生のフード、ドライ、サプリメントをショップ、オンライン、ドイツのスーパーマーケットの約1000軒でも販売している。本社で働く社員は約70人でドイツ人以外にフランス、オランダ、ニュージーランドと多国籍の若いスタッフが常勤し、欧州5か国で展開している。また、今年の1月からロサンゼルスにも子会社を設立し、アメリカでの大きなビジネス展開も視野に入れているそうだ。 『ペット・デリ』の最大の売りは、獣医と考えた添加物のないフレッシュな食材を冷凍して、ベーシックな日々の食として販売しているところ。犬用が穀物は比較的少なく、ブロッコリー、人参、りんごなど野菜やフルーツも混ざっている。冷凍されたフードは1年間の賞味期限があり、解凍後12〜14時間したら、2日以内で消費するよう勧めている。もちろん、人が食べても安全な食材を100%使用している。 冷凍だと、どうしても油分が抜けてしまうため、サプリメントとして亜麻仁油やサーモンオイルも販売。また、遠出や旅行のための缶詰やドライフード、ちょっとしたスナックと何でもそろっている。 ベルリンの高級住宅街・グリューネヴァルトにある専門のショップでは、動物に詳しいスタッフがアドバイスを与えるサービスもある。 「アレルギーのあるワンちゃんのために、私たちはカンガルーと鹿肉もご用意しています。わざわざ遠方から買いに来られるお客様もいらっしゃいますよ」と、店を任されるサスキアさんは語る。 グリューネヴァルトの森は、リードなしでワンちゃんが走り回れるため、大勢がやってくる。『ペット・デリ』は森の中に小さな店も出しているそうだ。オーガニック、自然志向の波は人間だけではない。今や、家族であるワンちゃんやニャンコにも、同じように自然食が考えられているのである。40右から:乾燥スナックはお散歩の時にあげたり、何かいいことをした時のご褒美。/ナマ食を冷凍したものが入ったフリーザー。従業員は社員プライスで購入できるそう。/店内にはワンちゃんも一緒にくつろげる広いスペースが。健康チェックのためのヘルスメーターも発見。60%の肉入り、猫用は85%の肉入りで右:本社のブランド・デザイン部のゴートは5か月の赤ちゃん。左:IT部のヒューゴ。部屋では静かに、お散歩になるとはしゃぐ。社内にいる8匹のワンちゃんはストレスにならないよう部屋を分け、距離を置いている。写真・峯岸進治Photographs byShinji MINEGISHIPets DeliBerlinベ高級住宅街にオープンした犬猫専用フード店
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