SIGNATURE2017年06月号
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勉で真面目なドイツ人は休暇もしっかりとる。ホリデーに行く際に、自家用車やキャンピングカーなどでワンちゃんを一緒に連れて行くこともある。友人やご近所さんに預けるという話も聞いたことがある。しかし、他の人の迷惑にならない方法としてドッグシッターをしてくれるペンションに預けるという選択肢は契約社会のドイツでうまく機能している。 ハンブルクから車で40分の郊外、リューネブルクにワンちゃん専用のペンションを運営する『ドッギンソン』は、ワンちゃん専門誌『DOG』の「国内ペンション100」に選ばれた、高級ペンション。休暇に出る人のほか、出張で家を留守にする人、月〜金曜のフルタイムで忙しく仕事をする人のワンちゃんのデイケアも受け入れている。某有名自動車メーカーの幹部、弁護士、マネージャークラスのビジネスマンと利用者は比較的、社会的な地位が高い方が多い。 『ドッギンソン』はチェックイン受付とドッグ・ブティックをハンブルク市内の閑静な住宅街ウーレンホルストに1年半前にオープンした。それまでは、市内のバス停などシャトルバスのピックアップ・ポイントを設けていたが、お天気が変わりやすいハンブルクで、出勤時間にかぶり、交通渋滞などに巻き込まれるなど不便で時間が不規則だった。今は、オーナーさんが徒歩か自家用車でワンちゃんを店まで連れて来てくれるので、待たせることもない。ワンちゃんたちは暖かなソファもある専用ラウンジで出発まで待機できる。 「ホリデーで20、デイケアで15と預かる数は少ないです。その分、ケアが十分に行き届いています」と、オーナーのニコルさん。ペンションにはスタッフだけでなく、お客さまのワンちゃんを接待する常勤の訓練されたワンちゃんたち5匹もいる。犬同士の仲を取り持ったり、一緒に水遊びやボール遊びにも誘導してくれるのだ。1ヘクタールのペンションの敷地に加え、隣接する囲みのある5ヘクタールの森はワンちゃんにとっても楽しいホリデー先。それでも心配なオーナーさんには家族がどんなところで宿泊するか来ていただく、見学もウェルカムという。夜は建物内に暖かくリラックスできる2〜3か所のラウンジがあり、どのワンちゃんにも好きな状態で勝手にゴロゴロできるスペースがある。そんな光景を見て、家族は安心して帰っていく。 「オーナーの方にはインターネットや今回のような取材でのワンちゃんたちの撮影の許可を、契約の際、必ずいただいています。ホームページやSNSで元気な姿をアップすると喜んでいただけますし、逆にネットに上がらない時は今、どうしていますか? と催促がくることもあるんですよ」とニコルさん。        遠い南の島やスキーリゾートなどの休暇先でも家族のワンちゃんがどうしているか気づかうオーナーの姿は、想像しただけでも愛らしい。42夕方、送迎シャトルバスでハンブルク市内に戻って来たワンちゃんたち。リラックスのためのホメオパシーやオーガニックフードと、国内やハンブルクの小さなメーカーからのユニークな商品を取り揃えている。ドッギンソン上:郊外のペンションに出かける前のラウンジに集まり、出発をおとなしく待つワンちゃんたち。中:サイズも色や柄もチョイスの多い特注のベッド。独ラグジュアリーブランドの商品やアメリカからの玩具も販売。下:近くのアルスター湖畔に散歩に来るワンちゃん連れがふらりと店に立ち寄ることも多い。写真・峯岸進治Doginson- Leben mit dem Hund GmbHHofweg 29, 22085 Hamburg, DeutschlandTel: +49 173 5364201 www.doginson.com/Photographs byShinji MINEGISHIDoginsonHamburg勤先進国のドッグシッター事情

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