SIGNATURE2017年06月号
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イツには捨て犬や猫、飼えなくなった動物を保護する動物愛護連盟に加盟する民間運営の『ティアハイム(動物の家)』や保護施設が全国に550か所以上ある。ハンブルクの動物の家は歴史が古く、1841年の設立。当時、必要以上に重い荷物を運ばせられていた馬やミルク配達犬を労ろうと、20歳の女性と有志が集まったのが始まりだ。現在は獣医5名を抱え、多くのボランティアに支えられながら、助成金、募金と相続金などで年間運営費が500万ユーロ(約6億円)、と規模も大きい。 「人は裕福になるとどうしても自己中心的になります。自分の勝手な都合で動物を手放す人も多い。動物いじめに対する法律というのもないのです」と広報担当のスヴェン・フラースさんは施設自体が拡張していると語る。インターネットで簡単に毒蛇も買える時代、手に入れるのは簡単だが、飼いきれない人も増える。春は特に新しい命が芽生える季節、人手はいくらあっても足りないそうだ。保護された動物の新しいオーナー探しもこの施設の仕事。たとえば、ドイツの猫は90%が家の中で飼われているが、5年以上、屋外の生活を知っている猫に関しては、キャッいたわトドアなど自由に屋外に出入りできる環境を整える必要がある。オーナーになる人の生活状況や家族構成も細かくチェックされる。広告を見て、この猫を! と思ってやってきても、結果的に違った猫を持ち帰ることになる。 この施設ではヨーロッパの他の国、ルーマニアやウクライナなど、保護環境がよくない国の有志たちと連携し、特に犬や猫を保護している。週に数度、ボランティアに来る女性は最近、ルーマニアからやって来た雑種犬と近くまで散歩に出かけている。「シフト制の仕事をしているので、家で犬を飼うことはできないんです。ここに来れば、犬好きが集まってくるので友達も増えるし、散歩はよい運動にもなりますからね」と、友達になったルーマニア犬に会いに来ることを楽しみに、動物の家に通っているのだ。ハンブルク・ティアハイム43写真右から:飼えなくなった蛇も。ボランティアの人たちの間で施設内につくられたカフェとライブラリー。本やCDなどいらなくなったものを持ち寄り、1冊1ユーロで販売。収益は施設の運営費用に寄付される。右:人気の高いうさぎ。何らかの理由でこの施設にたどり着いた。左:『ハンブルク・ティアハイム』広報担当のスヴェン・フラースさん。「先進国は豊かなのだから小さな命を助ける義務がある」と、社会や政治に批判的。真摯に動物たちの現状について語ってくれた。最近、保護の数が増え続けているイグアナなど流行りの爬虫類系。Hamburger Tierschutzverein von 1841 e.V.Süderstraße 399, 20537 Hamburg, DeutschlandTel: +49 (0)40 21 11 06-0 http://www.hamburger-tierschutzverein.de/tierheimTierheim in Hamburgド民営による動物保護シェルターの現在

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