SIGNATURE2017年08_09月号
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夏を涼しくする羊羹紫野和久傳「笹ほたる」What’s new ? 写真・大志摩徹 文・品川雅彦 古来、蛍は日本の夏の美を象徴するものとして、多くの文学作品にも取り上げられてきた。たとえば清少納言『枕草子』の有名な一節。 「夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし」 京料理の名店として誉れ高い『和久傳』が手掛ける、〝おもたせ〞に特化した『紫野和久傳』では、季節の羊羹「笹ほたる」を販売している。じっくりと炊き上げた国産小豆と抹茶の水羊羹に、ほうじ茶のゼリーを合わせた夏季限定品。その断面は、笹の上に止まる蛍さながら。夏の夕べの笹に集う野辺に、蛍の明かりがふわりと浮かぶ。その光景をイメージし、目での蛍狩りを愉しんだ後に、黒文字など刺し込んで「笹ほたる」を口に運ぶ。白小豆の品のよい甘みと共に、酷暑とは無縁の緩やかな涼風が吹き抜け、抹茶の風味と、ほうじ茶の香りが広がっていく。 明治・大正・昭和を生きた俳人・高浜虚子はこんな一句を残している。「蛍火の今宵の闇の美しさ」。おいしいものは、舌だけではなく、五感すべてで堪能したい。ほたるhttp://www.diners.co.jp/ja/sig/m1708/26お問い合わせ紫野和久傳 電話075-495-5588「本質を変えることなく、時代に応じて業態を進化させる」。これが『和久傳』の考え方の一つである“不易流行”。料亭の味を“おもたせ”にした季節の羊羹「笹ほたる」もその一環。秋は「月あかり」、冬は「まどの雪」、春は「夜さくら」と順次販売予定。京都・東京・名古屋の直営店やデパートにて2017年8月31日まで発売中。サイズ14×8.5×5.5㎝、2,160円(税込)デジタル版シグネチャーは下記よりご覧ください。Photograph by Toru OshimaText by Masahiko ShinagawaGourmetMURASAKINO WAKUDEN

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